「闇バイト」犯罪に手を染めると『重い刑罰』原則、強盗致死は「死刑もしくは無期懲役」強盗は「5年以上の懲役刑」サイバーパトロールで見えてきた募集の実態(2024年11月25日『tbc東北放送』)

強盗事件や特殊詐欺事件の実行役として集められる「闇バイト」。その撲滅に向け活動するサイバーパトロールの現場を取材しました。SNS上で甘い言葉を並べながら若者を誘い込む巧妙な手口が見えてきました。 

 

 

■サイバーパトロールに密着
仙台市青葉区にあるIT企業。県警から委託を受けサイバーパトロールをしている会社の一つです。今回、パトロールの様子を特別に見せてもらいました。
キューアンドエー 佐々木由美さん:
「キーワードを入力し、検索最新の投稿が出るようにして該当の闇バイトの募集投稿を探します」
キーワードを打ち込み検索すると、SNS上に次々と募集を呼びかける投稿が現れました。「闇バイト」を堂々とうたう投稿も見られますが、ここ最近は、パトロールから逃れるため「ホアイト案件」「グレー案件」というキーワードも見られるといいます。
キューアンドエー 佐々木由美さん:
「隠語もすこしずつ形を変えながら、いろいろな方法でなんとか闇バイトに陥れようとしている」
■相次ぐ「闇バイト」で凶悪事件
関東地方で相次いでいる強盗致死事件や強盗事件では、闇バイトに応募した若者が次々と逮捕されています。
宮城県内でも11月、特殊詐欺グループが摘発されリーダーを含む30人が逮捕されました。うその高額当選サイトなどを運営し金をだましっていた事件ですが、メールを送る「打ち子」は、一般求人サイトで集められていたと見られています。
私たちの身近に迫っている闇バイト、街の声は…。
20代社会人:
「(見たことは)ないですね。時給の金額や報酬金額を見たらすぐ変だなおかしいなと気づくと思う」
20代学生:
「闇バイトよりは、普通にバイトしたほうが信頼とかも得られると思うのでそっちのほうが良いと思う」
10代アルバイト:
「私はないですね。度胸がないので捕まるようなことは基本出来ない」
その一方で…。
10代学生:
「インスタとかでまわっているのを見たことある。夜歩くだけでお金がいくらかもらえるというもの」
10代学生:
「インスタで、スマホで何かするだけで30万円もらえるといったのは見たことある」
■警察も取り締まり強化へ
県警は、対策や取り締まりの強化に乗り出していて11月18日には、大学の職員や学生を集めた講習会を開きました。
県警本部サイバー犯罪対策課 津志田浩孝課長補佐:
「ホワイトやホワイト案件と書いて、犯罪ではない安全な仕事であると強調しているパターンもある」
金銭に困っている若者や知人に誘われた若者が、軽い気持ちで闇バイトの募集にメッセージを送ってしまうケースも少なくないといいます。
■「闇バイト」実際どんなやり取りをするのか
実際の通信アプリでのやりとりです。7日間で100万円などの甘い言葉が並びますが、一度引き受けると脅しをかけて抜け出せなくなるよう仕向けるのが手口です。
闇バイトに関する講習会に参加した学生:
「人生棒に振りたくないので、危ないことには手を出さないようにしようと思った。怪しい表現があるところにDMなどを送らないようにしたい」
参加した学校職員:
「応募させやすい文言にひっかかってしまうことが分かった。学校としても考えていかなければいけない」
県警の委託を受けサイバーパトロールをしている仙台市内のIT企業。この日見つけた闇バイト募集のアカウントを運営者に通報しました。
■「闇バイト」で事件、待ち受ける重い刑罰
しかし、投稿を見つけ削除依頼しても次々と新たな募集が書き込まれる、いわゆるイタチごっこが続いています。
キューアンドエー 佐々木由美さん:
SNS上での高額収入を謳っているようなバイトには絶対に手を出さないでいただきたいと思っている」
闇バイトの募集に使われるキーワードとして「ホワイト案件」や「グレー案件」「15分で5万円」などの高額報酬が挙げられます。軽い気持ちで応募してしまうと個人情報を求められそれを使い、自分や家族に危害を加えるなどと脅迫され、次々と犯罪行為への加担を求められるということです。そして、犯罪に手を染めると待っているのは重い刑罰です。原則として強盗致死は、死刑もしくは無期懲役、強盗は5年以上の懲役刑が課せられます。
県警は、もし応募してしまったとしてもためらわずに電話「#9110」や近くの警察署に相談してほしいと呼びかけています。