22日は「いい夫婦の日」 結婚報道にちなみ夫婦の幸福度とは(2024年11月22日『毎日新聞』)

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アンケート調査から見えてきた夫婦の幸せとは(写真はイメージ)=ゲッティ
 11月22日は「いい夫婦の日」――。タイミングよく、今年6月に配信されたドラマ「1122 いいふうふ」で、夫婦役を演じた俳優の岡田将生さん(35)と高畑充希さん(32)が19日、結婚を発表した。ドラマでは夫婦仲を円満に保つための2人の関係がテーマだったが、夫婦が幸福でいるために必要なものは何だろうか。
幸福度アンケート調査
 シンクタンク「SOMPOインスティチュート・プラス」は今年7月、国内在住の18~89歳の男女を対象に幸福度に関するインターネット調査を実施し、7471人から回答を得た。報告書にまとめ、11月15日に発表した。
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 アンケートは「とても幸せ」を10点、「とても不幸せ」を0点とし、最も近いと思う点数を選択する。
 報告書によると、女性の幸福度のバロメーターの一つとなったのが「家事分担」だ。女性が、夫やパートナーに対し「家事に前向きだ」と感じているほど幸福度が高い傾向があった。
 「とても前向き」と回答した女性の幸福度の平均値は8・4点。「どちらかというと前向き」「どちらともいえない」「どちらかというと前向きでない」と徐々に落ち、「全く前向きではない」は5・6点まで下がった。
 女性の年代別では、18~29歳と30代の回答は、夫やパートナーが「とても前向き」「どちらかというと前向き」を合わせると約6割を占めた。一方、40~80代は40%台にとどまった。若い世代ほど男性が積極的に家事を行う傾向がうかがえる。男性についても、妻やパートナーが家事に前向きだと幸福度が高い、女性と同様の傾向があった。
家事は「コミュニケーション」「配慮」
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濱野展幸・SOMPOインスティチュート・プラス統括上席研究員=東京都内で2024年11月14日午前10時53分、御園生枝里撮影
 濱野展幸・統括上席研究員は「家事の分担に互いに前向きだと感じていれば、幸福度が増す傾向にあります。家事をすることは、幸福度に影響する『コミュニケーション』『他者への配慮』につながります。相手に思いやりをもって接し、十分にコミュニケーションを取ることが大切ではないでしょうか」と話している。【御園生枝里】

いい夫婦であるために(2024年11月22日『佐賀新聞』-「有明抄」)
 
 結婚式で新郎新婦が交わす三三九度は、大中小3枚組の杯が使われる。祖先に感謝する「過去」と、2人が愛を誓い合う「現在」、そして一家の安泰を願う「未来」の意味が込められているのだとか
夏目漱石は明治29(1896)年、英語教師として赴任した熊本で結婚した。質素な挙式だったせいか、杯がひとつ足らなかった。のちに妻からそれを聞かされた漱石は「道理で喧(けん)嘩(か)ばかりして、とかく夫婦仲が円満に行かないわけがわかった」と苦笑したという
◆たとえ杯がそろっていても、「未来」は見定めがたいものである。近ごろ同居20年以上の離婚が目立つという。離婚件数そのものは減少しているというのに、「熟年離婚」は過去最多で全体の4分の1を占めた
◆以前は夫の定年がきっかけだったのが、50代で管理職の肩書が外れ給料が下がる「役職定年」が広がり、危機は案外早く訪れる。きょうは語呂合わせで「いい夫婦の日」。この人を選んで間違いはなかったか。この人を大切にしてきたか。わが胸に問うてみるのが、危機回避の一歩になると信じたい
漱石は新婚の門下生にこんな手紙を書き送っている。〈夫婦は親しきを以(もっ)て原則とし、親しからざるを以て常態とす〉。仲むつまじくありたいと願っても、ままならないのが日々の暮らしである。とかくに人の世は住みにくい…か。(桑)