(渡辺 喜美:元金融担当相、元みんなの党代表)
■ 不倫報道の3時間後にはあっさりと認めたが
「私の人生も素晴らしい女たちとの出会いによって形づくられてきたことは確かだ。何かの歌の文句にもあったように『所詮この世は男と女』であり、あのハリウッドの名作『カサブランカ』の主題歌『As Time Goes By』(時の過ぎゆくまま)の通りとすれば、私の放蕩も言い逃れできるに違いない」(石原慎太郎)
「カネも女(男)も権力も、3点満点になったヤツは必ず失脚する。田中角栄しかり、三越の岡田しかり。平等社会の日本では2点でもアウトだ。権力を持つ政治家の許容限度はせいぜい1、2だ。多少お喋りだとか、多少大酒飲みだとか、だな」(ミッチー語録)
選挙中に逢引きに使ったであろう高松市内のホテルのエレベーター前や、選挙3日後に密会した都内ワインバーからパーカーのフードを被って出てくる玉木氏の写真が撮られており、否定し難い証拠となった。
玉木氏は不倫報道の3時間後には、あっさりと認め、妻に全てを話し謝罪したことを明らかにした。
■ 妻やオカンに叱られて家庭内別居処分になった党首も
街頭演説やテレビ討論番組でも謝罪を繰り返したが、党内の倫理委員会にかけられることになった。不満は渦巻き、代表交代の可能性もないとは言えない。
今後、本格的な第2弾が出るのか、妻が庇うのか、SNSやメディアが「炎上」するのか、などの要因で様相は変わってくるだろう。
第3極の党首の女性スキャンダルとしては、橋下徹氏がタレント時代に付き合っていた北新地の女性との関係が暴露されて叩かれたケースがあったが、妻やオカンに叱られて家庭内別居処分になったことなど公表し、事なきを得たことがあった。
国政政党化する直前だったが、初期消火に成功した事例と言えよう。
作家でもあった石原慎太郎さんは、亡くなってから出版された「『私』という男の生涯」の中で5人の赤裸々で衝撃的な女性遍歴を、そこまで書くか、という筆致で綴っている。氏の現役中はその一部が漏れ伝わってきたものの、スキャンダルとして炎上するレベルには全く至らなかった。
同様に愛人・隠し子が報じられた木原誠二氏(玉木さんの大蔵省同期)は、別宅があっても今は誰も話題にしない。これは開き直りで消火した事例と言える。
■ 「財務省の陰謀」なのか?
「それがどうなの」というのがフランスの文化だそう。
フランスほど寛容でないアメリカでもクリントン大統領が執務室で研修生と「不適切な関係」に陥ったが、任期をまっとうした。トランプ氏も大統領になる前、関係を持ったポルノ女優から訴訟を起こされたが、再選された。
石原さんのように政治家というより際どい描写で有名になった「太陽の季節」でデビューした作家のイメージが強い人は、公職より好色の許容限度が広いのかもしれない。
玉木さんの場合は国会の「場外乱闘」を見ているようだ。スクープ報道では「香川県の政界関係者」がネタ元になっている。
2年前から2人の密会を2回目撃したとも同筋は語っており、玉木さんと女性の両方を以前からよく知っている関係者だと推察される。
玉木さんの脇が甘かったのは言い逃れようがない。報道後のぶら下がりでは相手の女性と別れるとは明言しなかったことから、「ガチ恋」してるとか喧しい情報が飛び交っている。ちなみにお相手女性の写真集はAmazonでベストセラー1位になったそうな。
そうした陰謀説が出るのは、日頃から「御進講」と称して政・財・学・マスコミ・シンクタンクなどへの刷り込み工作をやっているからだろう。
翌年の2回目の増税を延期する法案が出てきたらそれを潰し、安倍政権が弱ったところで谷垣禎一政権を樹立する、そんな共同謀議が行われた。しかし、谷垣氏は財務省の策略に乗らなかった(船橋洋一「宿命の子」安倍晋三政権クロニクル)。
■ 生き恥を晒してでも政策の実現を
地元のある役所では末端職員にまで私の悪口を書いた週刊誌のコピーが配られた、と地元の記者から伝え聞いた。
玉木さんが袋叩きにあって辞任するのを見たい人もいるだろう。しかし、基礎控除の75万円の引き上げは是非とも実現して欲しい。所得の高い人ほど減税額が高くなるとの理屈に対しては、所得が高くなるほど減税率は小さくなると言いたい。
GDP速報値(7-9月期)も年率換算2.1%増となってきたので、ここで手取りを増やす政策を採れば名目4~5%成長が恒常的に実現できるようになるだろう。
時事通信の世論調査では下げ止まったかに見えた内閣不支持率がまた上昇し、8.2ポイント増の38.3%となった。石破さんの不人気辞任を先送りするには、財務省を抑え込んで国民民主党案を丸呑みするのが一番手っ取り早いと思う。
渡辺 喜美