アイドルを卒業後、政務官になった今井氏(左)と生稲氏
「これ何? フェイク(ニュース)なのって思ってた」──50代の女性はテレビ朝日の街頭インタビューに応じて苦笑を浮かべた(註1)。「同感」と頷いた人は相当な数に達するはずだ。11月13日、第2次石破内閣の副大臣と大臣政務官が臨時閣議で決定し、内閣府政務官と復興政務官の兼務に今井絵理子氏が、外務政務官に生稲晃子氏が任命された。“元アイドル”2人の大抜擢に世論は猛反発、ネット上では批判の投稿が殺到している。
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その決定の後、 今井氏の政務官就任が発表された。今井氏を巡ってデイリー新潮は2017年7月26日、「『今井絵理子』の略奪不倫 妻子ある地方議員と“お泊り”3日間」の記事を配信し、週刊新潮8月3日号に掲載された特集記事の要点を伝えた。担当記者が言う。
「Smart FLASHが11日、玉木氏と元グラドルの不倫交際を報じました。玉木氏は記者会見と東京・有楽町の街頭演説で報道内容を認めて謝罪しました。ところが、相手の女性は社会的制裁を受ける可能性が高いにもかかわらず、玉木氏はお咎めなしでした。これに異論が殺到し、慌てた国民民主党は倫理委員会への調査付託を決めたわけです。一方、今井氏の場合はシングルマザーの彼女が妻子ある男性と不倫関係に陥ったわけですが、今井氏には今に至るまで自民党による調査が行われたこともなければ、処分が下ったこともありません」
2016年、当時衆議院議員だった宮崎謙介氏の不倫を週刊文春が報道すると、宮崎氏は自民党を離党し、議員も辞職した。玉木氏や宮崎氏と比較すると、お咎めなしのまま今井氏が政務官に就任することに違和感を覚えている国民は少なくないようだ。
「この人何かしたっけ?」
「今井氏はフランス研修旅行でも世論から強く批判されました。2023年7月、自民党女性局はフランスでの研修旅行を実施。3泊5日の日程で、全国の女性局所属の地方議員や国会議員ら38人が参加し、その中に今井氏もいました。ほとんど観光旅行と変わらない内容が発覚して批判が殺到したのですが、今井氏はXで『無駄な外遊ではありません』と強弁。活動報告を提出すると大見得を切ったものの、報告書は非公表となり、さらに批判が強まりました」(同・記者)
注目度の高さもあって、2024年に入ってからもデイリー新潮は今井氏の動向について報じてきた。タイトルだけご紹介しておこう。
Xでは、やはり不倫とフランス研修の問題を改めて指摘する意見が多い。いくつかご紹介しよう。
《政治とカネ問題や、玉木の不倫問題出てるのにフランス旅行、不倫略奪の今井絵理子の起用なんてよほどの阿呆》
「『これから勉強します』って言った人」
一方の生稲氏は2022年7月に行われた参院選に関連し、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連施設を当時経済産業相だった萩生田光一氏と共に訪れていたことが後に判明。厳しい批判が殺到したことは言うまでもない。
「本来、自民党の支持層は“政治と宗教の問題”には敏感で、創価学会を支持母体とする公明党との連立政権は『本当なら解消してほしい』が本音です。1993年、非自民・非共産連立政権が誕生すると、公明党は与党、自民党は野党になりました。その際に自民党は公明党のネガティブキャンペーンに踏み切り、党員や支持層が喝采を送った歴史もあります。選挙に弱い自民党の国会議員は統一教会の組織力に頼らざるを得ない状況があったわけですが、それを苦々しく見ていた党員や支持層も決して少なくないのです」(同・記者)
Xの投稿も、やはり統一教会との関係を問題視する意見が多い。
《生稲さんて統一教会に萩生田さんと一緒に挨拶に行った生稲さんですかね? 外交て何か実績ありましたっけ? 》
《生稲って旧統一教会の人に挨拶に行かされて当選して、記者に政治家としての豊富を聞かれて「これから勉強します」って言った人だよね》
自分で自分の首を絞めた石破首相
「今回の衆院選では無党派層に加えて自民支持層のうち保守派の票が日本保守党に流れ、同党の躍進に寄与したのではないかと指摘されました。独自の世論調査を行うJX通信社の米重克洋氏は4月、衆院東京15区補欠選挙の投票行動を分析し、政治不信が加速すると日本保守党には“追い風”となる可能性を指摘しました(註2)。その分析が正しかったことは衆院選の結果が証明したわけですが、今井氏と生稲氏の起用も自民党不信、政治不信を加速させるのは間違いありません。石破茂首相は今回の政務官人事で、自分で自分の首を絞めたと言えます」(同・記者)
註2:データで見る日本保守党の「善戦」― どんな人が投票したのか、独自調査で分析する(YAHOO! ニュース:4月30日)