第103代首相指名へ 決選投票なら5例目(2024年11月11日『日本経済新聞』)

 

仕組みを解説

 
石破茂首相は11日、国会で第103代首相に指名される見通しだ。首相の指名を受け就任する流れはどのようなもので、今回何が予想されるのか。国会の首相選びにまつわる仕組みをまとめた。

過半数なければ決選投票

今回の首相指名選挙は10月の衆院選を受けたものだ。日本の首相は内閣総辞職衆院選の後、憲法の規定に基づき衆参両院が国会議員から指名する。記名投票で過半数を得た議員がいなければ上位2人の決選投票になる。

衆院選の結果、自民、公明両党は衆院過半数を割っており、決選投票になる可能性が浮上している。過去に衆院で決選投票になったことは4回あり、直近は1994年に村山富市海部俊樹両氏が争った。衆参で指名結果が異なるときは両院協議会を開き、一致しなければ憲法の規定で衆院の指名が優先される。

皇居での親任式を経て就任

国会で指名を受けた議員は皇居での「親任式」を経て正式に就任する。天皇陛下が国事行為として「内閣総理大臣に任命します」とお言葉を述べる。閣僚は首相に任免権があるため天皇陛下がそれを認める儀式「認証式」という形をとる。これをもって新内閣が発足する。

新首相は親任式・認証式後、首相官邸に戻って各閣僚に職務を明確にした補職辞令を交付する。初閣議を開いた後に首相と閣僚の集合写真を撮影するのが慣例となっている。

選出する首相は第103代

石破首相は10月に第102代首相になって40日あまりだ。直後に衆院解散・総選挙に踏み切ったため今回、特別国会で再び第103代の首相を選ぶ。

日本の首相の代は内閣が発足してから総辞職するまでを1代と数える。総辞職は自ら職を辞す場合や衆院選後に初めて国会が召集されたときなどがある。そのため第103代になる見込みの石破首相は首相になった人数でみると65人目で、複数の内閣を組織するのは24人目となる。過去には第5次内閣まで組織した吉田茂首相の例がある。

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編集・記事 宮坂正太郎