第215特別国会が11日召集される。午後の衆参両院本会議での首相指名選挙で、石破茂首相(自民党総裁)が第103代首相に選出される公算が大きい。自民、公明両党の連立与党は衆院選で過半数割れとなったため、首相指名選挙は戦後5回目の決選投票にもつれ込む見通し。決選投票になれば、社会党出身の村山富市首相が選出された1994年以来、30年ぶりとなる。
◇11日の政治の動き
石破氏が選出されれば、11日夜までに第2次石破内閣が発足。首相は記者会見で、今月中にも取りまとめる経済対策や、自民派閥の裏金事件を受けた政治改革の取り組みなどについて説明するとみられる。
第1次石破内閣は11日午前の閣議で全閣僚の辞表を取りまとめ、総辞職する。自民は衆院選で公示前から65議席減の191議席。公明を合わせても過半数(233)を大きく割り込む215議席に落ち込んだ。自民は派閥の裏金問題で非公認とした無所属ら6人を会派に加え、与党は計221議席で今国会に臨む。
首相はその後、公明の斉藤鉄夫代表との党首会談に臨んだ上で、首相官邸に組閣本部を設置。皇居での首相任命式と閣僚認証式を経て新内閣を発足させる。首相は衆院選で落選した牧原秀樹法相と小里泰弘農相の後任に、それぞれ鈴木馨祐元副外相と江藤拓元農相を充てる。斉藤氏が務めてきた国土交通相には公明の中野洋昌元経済産業政務官を起用する。それ以外の閣僚は再任する。
◇内閣発足後 政権運営の焦点は
第2次内閣発足を受け、首相はまず経済対策と補正予算案の編成を急ぐ。野党が攻勢を強めるのは確実だ。首相が、所得税がかかり始める「年収103万円の壁」の解消などを掲げる国民民主党の主張を取り込みながら、政権を安定させることができるかが焦点となる。
政策活動費の廃止や調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開などの政治改革も喫緊の課題となっている。年末に向けて与野党の攻防は激しさを増しそうだ。【内田帆ノ佳】