「令和の米騒動」に「裏金問題」。無論、分かる。「もうええで…(2024年11月10日『東京新聞』-「筆洗」)

 「令和の米騒動」に「裏金問題」。無論、分かる。「もうええでしょう」もドラマのファンなので知っているが、「8番出口」が分からない。「はいよろこんで」とは何か
▼いずれも今年の新語・流行語大賞の候補。リストをながめて落ち込む。世情に敏感であるべき稼業ながらまるで分からぬ言葉が年々増えてくる
▼言い訳をすれば世の中の関心の先は昔と違って多岐にわたり、新語や流行語はさまざまな分野から生まれる。追い切れない
▼知らなかった「8番出口」はヒットしたゲームのタイトルで、「はいよろこんで」はSNSで火が付いた歌らしい。ゲームやネット文化に疎い身は聞き慣れぬ言葉に「はて?」と戸惑うことになる
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▼大賞の行方はともかくも、相次ぐ闇バイトによる強盗事件を思えば「ホワイト案件」という新語・流行語の候補はもっと警戒の「脚光」を浴びていい。強盗の実行役を集める触れ込みの文句。高報酬で危険のない案件=ホワイトだといってネットで人を誘い、強盗の片棒を担がせる
スーパーボウルのチケットを差し上げますと逃亡犯をおびき寄せた米国のおとり捜査を思い出した。「ホワイト案件」という言葉を言い出した方は流行語の考案者として表彰します-。その触れ込みで強盗の首謀者をおびきだし、お縄に…。すまぬ。あほうな空想が浮かぶほど危険な強盗の「流行」が心配である。
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【流行語大賞】「もうええでしょう」ピエール瀧、「地面師たち」で多彩な関西弁/ノミネート(2024年11月5日『日刊スポーツ』)
 
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Netflixシリーズ「地面師たち」完成報告会に臨む、左から大根仁監督、小池栄子、豊川悦司、綾野剛、北村一輝、ピエール瀧(2024年7月撮影)
 
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【イラスト】歴代の流行語大賞
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【イラスト】新語・流行語大賞大賞ノミネート一覧
今年を代表する言葉を選ぶ「現代用語の基礎知識選 2024ユーキャン新語・流行語大賞」のノミネート30語が5日、発表された。トップ10と大賞は、12月2日に発表される。
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「もうええでしょう」 Netflix(ネットフリックス)で7月から配信されたドラマ「地面師たち」(綾野剛、豊川悦司ダブル主演)で、関西弁の地面師、後藤を演じたピエール瀧のせりふ。交渉を早く切り上げたり、ピンチを切り抜けたりする場面でさまざまなニュアンスで発せられ話題に。
ネットフリックス公式も「聞けば聞くほど癖になる後藤(ピエール瀧)の常とう句をバリエーションでどうぞ。絶対決めたい商談や、長引く打ち合わせに使ってみては?」と題して、せりふシーンのまとめ動画をアップする盛り上がりをみせた。
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事務局では、今年の傾向を「2024年は1月に能登半島地震が発生し暗いニュースからのスタートとなったが、オリンピック、大谷選手の活躍、ダンス動画関連のヒットなど、話題は数多くみられた。流行語としては、小粒がそろったと思われる。また、「お金」にまつわる用語が数多く発生。責任をもたない風潮の世の中、光と闇が混在した年であり、嵐の前の静けさを感じさせる」としている。