◆クリントン氏は総得票数でトランプ氏を上回っていた
AP通信によると、9日未明の時点で、トランプ氏は約7425万票(得票率50.6%)、ハリス氏が約7035万票(同47.9%)と、トランプ氏が約390万票多く、得票率で3ポイント近く上回っている。
大統領選は全米での総得票数を競うのではなく、各州などに割り当てられた計538人の大統領選挙人の獲得を争う。2016年選挙は、トランプ氏が民主党のクリントン元国務長官に選挙人数で上回り勝利したものの、総得票数では、クリントン氏が280万票以上多かった。
共和党候補が総得票数で民主党候補を超えれば、2004年のジョージ・ブッシュ(子)氏以来20年ぶりだ。トランプ氏は選挙人の数でも、激戦7州のうち6州を制し、計301人を確保。残る激戦州の西部アリゾナでもリードし、陣営幹部は「歴史的な国民からの信任だ」と胸を張った。
CNNテレビの分析によると、トランプ氏は、西部ワシントン州を除く49州と首都ワシントンで、バイデン氏に敗れた20年選挙より得票率を伸ばした。
◆民主党は伝統的な支持層が離れてしまった
さらに共和党候補の最多得票率の記録を、18~29歳の若年層で20年ぶり、黒人で48年ぶりに更新。ヒスパニック(中南米系)は記録がある1972年以降で最多となった。過去にトランプ氏に拒否感が強かった民主党支持層の引きはがしに成功したといえる。
ワシントン・ポスト紙の出口調査では、物価高を背景に投票で「経済」を最も重視したと回答した人の約8割、「移民」と回答した人の約9割がトランプ氏支持だった。過去最多の不法移民の流入を招いたバイデン政権への不満がハリス氏に向けられた。
またAPによると、ハリス氏は女性の支持率も53%にとどまり、20年選挙のバイデン氏を2ポイント下回った。
◆「バイデン氏が1月に再選を断念していれば…」
後継のハリス氏に満足な準備期間が与えられなかったためで、20年大統領選の民主党候補指名争いに出馬した実業家アンドルー・ヤン氏は「最大の責任はバイデン氏にある。もし彼が7月ではなく1月に再選を断念していたら、まったく違った状況になっていたかもしれない」と批判した。