大敗の石破は辞めるべき?コバホークに直接聞いてみた もし今総理だったなら、国会をどう運営する?(2024年11月9日『東洋経済オンライン』)

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衆議院議員選挙の結果や今後の国会運営について、率直に聞いた
政治ジャーナリストの青山和弘が、政党や各界の論客をゲストにお招きし、日本の政治を深掘りする「青山和弘の政治の見方」。第1回は、“コバホーク”こと衆議院議員小林鷹之氏に、「石破総理は辞任しなくてもいいのか?」や「『野党の代表を首班指名』の現実味」などについて聞いた。
※記事の内容は東洋経済の解説動画シリーズ「青山和弘の政治の見方」から一部を抜粋したものです。外部配信先では動画を視聴できない場合があるため、東洋経済オンライン内、または東洋経済オンラインのYouTubeでご覧ください。
 
■「賭けに出て負けた」石破総理
 青山和弘(以下、青山):現在は小選挙区制ですから、衆議院選挙は「政権選択の選挙」だといえます。現政権、つまり自民党公明党の与党にとっては、過半数を取れるかどうかが「勝敗ライン」になる。これは、私は当たり前のことだと思うんです。
 そんな中で石破茂総理も、過半数を「勝敗ライン」と定めて、結果として割り込んだ。就任後即解散という賭けに出て負けたわけです。民主主義において、信任を得られなかった政権がその先長く続けることには、私は正当性がないと思っています。
 するとやはり、石破さんは退陣すべきだと思うのですが、小林さんはどう思いますか? 
 小林鷹之(以下、小林):私はそこにコメントする立場にないと思っているので(笑)。責任をどう受け止めるかは、トップリーダーを含めた方たちの判断することだと思っています。
 青山さんのご指摘と同じような考えを持っている人は実際、永田町界隈にもいますし、そういう意見が私の耳にも入ってきます。
 一方で難しいのは、総裁選の時から言い続けていますが、日本は今大きな分岐点にいるということ。国内の状況もさることながら、国際情勢の中で、とにかく今、政策を推進していかなきゃならない。
 政権の基盤を改めてつくり直して強くするというのも、一つの方法、選択肢かもしれない。ですが、アメリカの新たな政治体制含め、本当に激動の時代に突入していく中で(日本の政治にも)瞬発力が求められます。
 その中でまずは国内の景気対策、経済対策含め、とにかく今やれることに注力しなければならないのでは、と思います。
■もし今総理だったら、国会をどう運営する? 
 青山:日本が大変な岐路に立っているという点にはまったく異論がありません。だからこそ日本政治がしっかりしていかなきゃならない。しかも、民意を受けていないまま(石破政権が)続けていくと、どこかで潰される時が来るのではないかと懸念しています。
 少数与党として厳しい政権運営が迫られると思いますが、もし小林さんがこういう状況下で総理総裁だったとしたら、どのように国会運営をしていきますか? 
 小林:党は違えど、相手も人であり政治家ですから。これまでも当然、野党の意見に耳を傾けてきているわけですが、これまで以上にその真摯な姿勢が求められると思います。
 一方で、耳を傾け、調整し、丁寧なすり合わせをするものの、そこに時間がかかりすぎると(よくない)。海外もわれわれを見ているからです。
 小林:目下は国民民主党を含めた3党でどう合意形成をしていくかという話になっていますが、パーシャル(部分)連合みたいな形でもスピーディーに政策決定ができるんだ、というところを対外的に見せないと、国としてまずい。そこはこだわってやっていく必要があると思います。
 青山:国民民主党がすぐ連立に加わってくるとは考えにくい状況だとは思いますが、そんな中で思い出すのは、1994年からの自社さ連立政権(自由民主党日本社会党新党さきがけによる連立政権)です。
 当時は私は駆け出しの政治部記者として総理番をやっていましたが、本当にびっくりしました。野中広務さんや亀井静香さんがすごい舞台回しをして、社会党の村山党首を総理に担いだ。
 そういうことをかつて行った自民党だから、例えば国民民主党玉木雄一郎代表を「首班」に担ぐみたいなこともアリなんじゃないかと思うのですが、感覚としていかがでしょう?  受け入れられそうですか? 
■スピードだけが命ではない
 小林:青山さんのトークに乗っちゃいそうになりますが(笑)、あまり感覚論で軽々に話してはダメだなと(笑)。
 言えることだけ申し上げると、その時々、政局によっていろいろな選択肢がありえるでしょうが、別にスピードだけが命ではないわけです。やっぱり政党ですから、自民党としての軸がブレるのは絶対によくないことだと思っています。
 ほかの政党とのすり合わせは、当然それぞれの政策によって妥協・譲歩できる部分が出てくる一方で、互いに譲れない一線もある。自民党としての党の形が崩れてしまうようなことまでしてスピードを重視する必要はないと思っています。
 青山:自民党自民党じゃなくなるような形でもいいのか、確かに判断が難しいと思います。ただ、自民党と国民民主党が「お互い譲れない」となって決裂した場合、内閣不信任案が通ってしまう可能性が出てきます。
 そういう意味でも非常に苦しい状況ですが、それはもう覚悟のうえで、自民党はやっぱり譲らないものを持つべきだと思いますか? 
 小林:それはもう、ケース・バイ・ケースなんじゃないですかね。
 
青山 和弘 :政治ジャーナリスト、青山学院大学客員研究員