立憲民主党が野党の間で孤立を深めている。衆院選では「政治とカネ」の問題に照準を定め、公示前50議席増の148議席を確保し政権批判票の受け皿になったはずだった。だが、選挙後に注目されるのは「政策本位」で与野党と交渉する国民民主党ばかり。首相指名選挙への対応でも立民の働きかけに共産党以外からは色良い返事がなく〝大躍進〟の高揚感はない。
■「過去忘れない」と国民
立民の野田佳彦、国民民主の玉木雄一郎両代表は5日、国会内で会談し、国民民主が掲げた「年収103万円の壁」引き上げ実現に協力することなどで一致した。玉木氏は「ぜひ協力してほしい」と述べつつ、一部の立民議員がSNS上などで国民民主の政策に反対の論陣を張っていると指摘。「ご協力いただけるのであれば、党内の意思統一も図ってほしい」とクギを刺した。
野田氏は首相指名選挙の決選投票で自らへの投票を検討するよう求めたが、玉木氏から前向きな回答はなかった。両党は民主党を源流とするが、憲法や外交・安全保障、エネルギー政策を巡り離合集散を繰り返し遺恨は根深い。衆院選で立民は国民民主が先に公認候補を立てた小選挙区に対抗馬をぶつけるケースもあった。
決選投票で野田氏に投票できない理由に関し、玉木氏は5日の記者会見で過去の経緯に触れながら「政治的に殺されかかった人間が多くいる。勝ち残ってきた人たちに『立民代表の名前を書け』とはいえない」と語気を強めた。スポットライトを浴びる国民民主に、立民幹部は「ずっと一緒に仕事をしてきた」と親密さを強調するが、国民民主関係者は「過去のことは絶対に忘れない」と突き放す。
■不信感ぬぐえぬ維新、共産は前向き