<シリーズ 検証マイナ保険証>
国の役人のほうが国民全体よりもマイナ保険証を利用していなかった。公表された9月時点の国家公務員の利用率を受け、平将明デジタル相は11月5日の定例会見で「当然満足のいく数字ではない」と漏らし、「しっかり省内を含めて周知徹底し、呼びかけをしていきたい」と話した。(マイナ保険証取材班)
◆廃止まであと1か月だが…
厚生労働省が、国家公務員が加入する国家公務員共済組合の9月時点の利用率を公表した。
国家公務員の利用率は9月時点で13.58%。国民全体の利用率(13.87%)も下回る低水準だった。
平デジタル相は、12月2日に現行の健康保険証の新規発行が廃止され、マイナ保険証に一本化されることに触れながら、「制度が変わったんだとなれば、日本の人たちの対応能力は極めて高い」とも語り、「12月2日になったからといって、突然あれも使えない、これも使えないという世界が訪れるわけではないので、しっかり広報を努めていきたい」とした。
マイナ保険証の利用率 医療機関が、受診した患者の保険資格をオンラインで確認するのに、マイナ保険証を使った割合。政府は2023年4月から、医療機関に対し、患者の保険資格をオンラインで確認することを原則義務化した。医療機関がオンラインで資格確認するようになった今も、多くは現行の健康保険証を使って確認している。マイナ保険証はカードリーダーで保険資格を確認するが、現行の保険証は医療機関側が券面に印字された番号などを端末に入力して確認している。
◆「デジタル庁の人には心配していない」
国家公務員の9月時点の利用率は、組合別で見ると、マイナ保険証の旗振り役である厚労省(本省を含む第一共済組合)が最も高かったが、それでも19.68%と2割に届いていなかった。
デジタル庁個別の利用率は公表されていない。平デジタル相は「デジタル庁の人たちの適応力は極めて高いので、何の心配もしていない」と語った。
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首相官邸は5日、石破茂首相の10月1日の記者会見で指名されなかった報道各社の文書による質問に書面で回答した。首相が自民党総裁選中に「先送りの検討も必要」としていた現行の健康保険証の廃止(新規発行停止)時期に関し、予定の12月2日から先送りするのかどうか尋ねた本紙の質問に対して、首相は「法に定められたスケジュールで進めていく」と予定変更を否定した。
◆夫婦別姓「やらない理由がわからない」も「検討」に
5日、記者団の取材に応じる石破首相(佐藤哲紀撮影)
健康保険証の後継となるマイナ保険証の利用率は9月時点で13.87%と伸び悩んでいる。首相は「マイナ保険証が利用できない方も確実に保険診療が受けられるよう、資格確認書の活用も図っていく」と答えた。