YouTube「選挙ドットコムちゃんねる」では、毎週選挙や政治に関連する情報を発信中です。 2024年11月1日に公開された動画のテーマは、「自民党支持者はどこへ行ったのか」です。 先日投開票が行われた衆院選では、自由民主党が単独過半数を獲得することができず、大敗する結果になりました。今回は、自民党に所属されていた元衆議院議員の豊田真由子氏をゲストにお迎えして自民党の敗因を分析します。 今回の敗因は党内の分裂?!自民党はどう変わればいいのか?! 【このトピックのポイント】 ・今回の選挙戦の特徴と敗者の共通点 ・トップが違ったら結果は違っていたのか?! ・自民党支持者も離れて行った自民党は復活できるのか?!
自民党から票が流れた先と敗者の共通点とは?!
自民党の結果は、公示前の247議席から今回191議席と、56議席の減少。比例区では、前回の衆院選から533万票減らしました。 MC伊藤由佳莉「自民党は、非常に票が減りました。この結果をどのようにご覧になっていますか?」
豊田真由子氏「自民党の情勢調査は、N(母数)が多いので、割と正確性が高いと言われています。今回は甘すぎた数字が出ていて自民党の人も『ここまでとは!』という感じだと思うんです」 今回の特徴として、序盤と中盤と終盤で、自公の数字がどんどん悪くなっていた点をあげます。 メディアでは、自公で過半数ギリギリか少し減る位の予想が多かったのですが、それよりも「ザクっと減ったな」と感想を述べました。 MC伊藤「選挙期間中に、どんどん『与党が危ない』という報道に移り変わっていったのは、とても特徴的でした。元々、自民党はどのような方達に支持されていたのでしょうか?」 支持層の種類について豊田氏は「コアな自民党員」、「保守系」、「無党派層」の3種類をあげて解説します。
・「コアな自民党員」の方たちは、何があろうが、逆風が吹こうが、候補者が誰であろうが、自民党とその公認候補に入れるという方。
・「保守系」の方たちは、気持ちは自民党で、状況に応じて自民党ではなくなることもあるという方。
・「無党派層」の方たちは、風によって支持を変える方。
では、今回自民党から減った票は、どこへ行ったのでしょうか?
自民党がマイナス533万票、公明党もマイナス115万票なので、自公合計は約650万票がマイナスです。 豊田氏「立憲民主党が受け皿に、と皆さん言いますが、実は立憲は、今回7万2千票しか比例票が増えていない。小選挙区は他の政党が立てている数が少ないので、立憲の議席数が増えたけど、政党の支持率で言えば、立憲が伸びたというよりは、実際すごく増やしたのは国民民主党」 国民民主党はプラス357万票、保守党は0から114万票、参政党も0から187万票増やし、れいわ新選組もプラス159万票でした。 プラスとなった政党のうち、れいわに票が流れたかは「微妙」だと豊田氏。
「国民民主党と保守党と参政党には、前回自民党と書いた人は相当流れたと思います」とコメントしました。
一方で、維新はマイナス296万票、共産党マイナス80万票でした。 豊田氏「減らした党、増やした党の幅がそれぞれすごく大きいというのが今回の特徴だと思います」 MC伊藤「ライトな支持だった方が純粋に他党に流れたのでしょうか?」 豊田氏は、自民党の候補者は選挙で勝つために、自公の票をまとめて固めることと、無党派の票をどれだけ獲得するかで選挙戦を戦っていると解説します。
「今回大きく負けた候補者の小選挙区における政党支持率別の投票先をデータで見ると、自民票の取り切れていない、公明票をごそっと落としているという方が多い」と分析。 今回全ての自民党の候補者にとって、無党派層の票を取るのは厳しい状況でしたが「自分の選挙区における自公の票をまとめきれたか切れないかというのも大きい」と語りました。
トップが違ったら勝てたのか?!
MC伊藤「今回の選挙では、選挙期間中に非公認候補が代表を務める政党支部に2000万円が振り込まれたという報道があり、それが逆風になったという声もあります。この辺りはどう思いますか?」
豊田氏は、選挙終盤での2000万円問題で、ぐっと減ったのはもちろんあるが「あんまり近視眼的に見ない方がいい」と答えました。 2000万円問題だけでなく、政治とカネ、旧統一教会の問題など、いろいろな問題が積み重なり、「国民、有権者の方から見た時の政治不信がもう溜まりに溜まって『もういい加減にせえや!』、『もうお前ら信用せん!』と静かなるマグマが噴き出した」とコメントしました。 また、豊田氏は選挙戦を通して「冷めた感じ」を感じたと話します。
候補者からも「何を言っても信じてもらえない、もう聞いてもらえない状況が結構あった」という声もあったそうです。 新しい党や国民民主党は熱気がありつつも「選挙や政治に対して、全体のトーンとして冷めきっている、白けた感じがあった」と語りました。
仮定の話として、MC伊藤は、石破総理以外の方が総理だった場合、例えば、岸田文雄総理の続投、総裁選で2位だった高市早苗氏が総理だった場合、選挙結果は変わっていたかどうか尋ねました。
豊田氏「総論で言うと、誰であってもそれが数字になったかというと、難しいと思います」 今回の結果は、自民党のトップが誰かという話ではなく、自民党という党のガバナンスやこれまでの政策運営に対する批判や怒りが根底にあります。
例えばトップが違った場合、多少は違っても、ドラスティックに変わったわけではないとコメントしました。
「岸田さんだったらどうかなんて、岸田さんがダメだって言ってこうなったから話しても多分しょうがない」と豊田氏は苦笑します。
高市氏は、政策力もあり国民人気も高い方です。しかし、高市氏を支持している方が、政治とカネの問題で名前があがった方とかぶるため、さらにマイナスとなった可能性も。
今回「保守系」の票が日本保守党や参政党に流れたと言われています。トップが高市氏だったとしても、政治とカネの問題や保守系からの支持の話を総合しても「プラスマイナスがどうだったかは誰にもわからないですよね」とコメントしました。 一方で、石破総理の敗因については「超ブレたから」と豊田氏は語りました。
石破氏は「自民党の中の反主流派として、改革をすることへの期待」があって総裁に選ばれたのにも関わらず、選ばれた後の言動が「古い自民党じゃん」と思われ「コアな自民党支持者からも失望感があった」と分析しました。
自民党の復活策
MC伊藤「最後にあえて、自民党が復活するためのアイデアがあれば、ぜひお聞きしたいと思います」 豊田氏「『もういい加減にせよ!』とか『もう嫌だ』という感じが漂うので、そこをどうやって変えられるのかだと思います」
少し前までは、小泉進次郎氏が何かを言うと、メディアや有権者にウケていました。 小泉氏が演説で「若い力で、若い世代と自民党を改革していきます」と訴えていましたが「それが多分刺さらなかったのでは?」と豊田氏。「『変えます』だと『どうせ言っているだけでしょ』と思われる段階に来ている」と語りました。
豊田氏「だから、政治とカネの問題もそうですけど、政策の面でも、本当に国民にとって良い、国民が必要としている、バラマキとかじゃなくて本当の意味で、地に足のついた改革を具体的に実現することがまずは必要」 最後に豊田氏は、今回の自民党の敗因として「党が一丸となっていなかった」ことをあげます。
豊田氏が経験した2012年や14年の衆院選では、自民党に一体感があり、派閥関係なく上の人が下の人の応援に行き「みんなでこいつを受からせよう」という熱量があったと振り返ります。 「とにかく党がまとまっていなかった。本当に一丸となって、火の玉となって戦うぞ!みたいなものがなかった。亀裂が入ったまま。」そのことが、お互いの力を削ぎ合った部分もあるのではないかと述べました。 今回の選挙結果を受けて、自民党がどう動いていくのか、そして日本の政治がどうなっていくのか注目していきましょう!