「強者と弱者の間に立って何が中立か」…水俣病から見える差別、人権問題「加害者を許すか決めるのは被害者」 相思社設立50年、水俣市で記念講演(2024年11月5日『南日本新聞』)

キャプチャ
水俣病センター相思社」設立50周年記念講演で講演する安田菜津紀さん=4日、熊本県水俣市
 水俣病の調査研究を行う「水俣病センター相思社」(熊本県水俣市)の設立50周年記念講演が4日、同市総合もやい直しセンター「もやい館」であった。フォトジャーナリスト安田菜津紀さん(37)が登壇。鹿児島県などから約200人が来場し、水俣病から見える差別や人権問題を考えた。
キャプチャ2
 
 安田さんは、水俣病研究の第一人者で患者救済に尽くした医師、故・原田正純さん(享年77歳)=鹿児島県さつま町出身=の「弱者の側に立つことが真の中立。強者と弱者の間に立ってなにが中立か」との言葉を紹介。「ときに社会は『謝っているんだから』と、被害者に圧力をかけるが、加害者を許すかどうかを決めるのは被害者の権利だ」と訴えた。
 「分かり合えない人と歩み寄るには」との会場からの質問に、「自分が苦手な人が不当な扱いを受けた時、その行為自体を問題だと捉えられるかどうかが大事。身近な行動から差別をなくし人権を守る社会づくりはできる」と呼びかけた。
 薩摩川内市の無職男性(72)は「国など権力を持つ側からの抑圧という点で水俣病原発問題が重なった」と話した。

キャプチャ2
 
キャプチャ