◆石川県の漁獲枠500トン超えは2017年度以来
ズワイガニは資源保護のために国が調査に基づき漁獲可能量(TAC)を定める対象魚種。石川県は2024年度(漁期)、沖合底引き網船(15トン以上)の漁獲枠が111.9トン(昨年度比5トン増)、小型底引き網船(15トン未満)は397トン(同59トン増)。計508.9トンで2年連続で前年を上回った。富山県も前年度比9トン増の47トンになった。
石川県の漁獲枠が500トンを超えるのは2017年度以来。関係者は「近年の取り組みで資源が回復してきた成果」とみる。
富山県から島根県に至る「日本海西部海域」では2008年度からズワイガニの水揚げが減り続けてきた。危機感から、石川県の底引き網漁の組合は10年ほど前、成熟前のミズガニを全面禁漁にした。さらに誤ってミズガニが網に入らないよう、9月の底引き網漁の解禁後はカニが生息する水深で網を引かないようにした。
資源量を調査する水産研究・教育機構水産資源研究所の佐久間啓・主任研究員は「今年、能登の周りのズワイガニは非常に多い」と資源保護の成果が出ているとみる。能登半島地震の影響についても研究所は10月12日、「生息状況の変化は特に見られない」と速報での調査結果を出した。
◆「震災前と同じでなくても再開することが重要」
石川、富山両県などの漁獲枠が2年連続で増加したズワイガニ=2023年11月、金沢港で
石川県底曳網漁業連合会の橋本勝寿会長(64)は「稚ガニの生息状況から数年後には再び水揚げが減る予測もある。漁獲枠が増えたからといって取り過ぎると、また痛い目に遭う。重要なのは毎年の安定供給」。強く意識するのは地震後、漁ができていない輪島港の再開の支援。「震災前と同じようにとはいかなくても再開することが重要。(主力魚種の)ズワイガニのタイミングで出られなかったら今後、漁師が減りかねない。県漁協全体で支える」と決意を示した。