産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2、3両日に実施した合同世論調査で、石破茂内閣の支持率は43・8%となり、政権発足直後の前回調査(10月5、6両日)の53・3%から9・5ポイント急落した。
不支持率は前回比14・0ポイント増の49・8%で、支持率を逆転した。政権発足からわずか1カ月余りで不支持が支持を上回るのは異例だ。
11日召集の特別国会での首相指名選挙で、誰が首相に指名されるのがふさわしいかを尋ねたところ、石破首相(自民党総裁)が46・1%でトップ。
今後の政権の在り方についての質問では、「立民と他の野党が連立して過半数を得て政権交代する」(31・1%)と「自公が過半数を下回ったまま政権を継続」(30・5%)、「自公が新たに他の党と連立して、過半数を得て政権を継続」(30・2%)の3つの回答が拮抗した。
衆院選で躍進し、国会でキャスチングボートを握った国民民主に関し、今後の対応に望むことについては「政策ごとに与党に賛成、反対の立場を選ぶ」が65・1%で最多。「これまで通り野党の立場を取る」が21・9%で、「自民、公明とともに与党の立場を取る」は9・5%だった。
また、国民民主が目玉政策として掲げ、自民側に政策協議を求めている「年収103万円の壁」引き上げに関しては「引き上げるべきだ」(77・2%)が「引き上げなくてよい」(16・6%)を大きく上回った。
一方、自民の派閥パーティー収入不記載事件を巡り、衆院選で不記載のあった候補者を非公認などの対応で選挙戦に臨んだことで「政治とカネ」の問題にけじめがついたかを尋ねたところ、「けじめはついていない」が85・5%に上ったのに対し、「けじめがついた」は10・6%。
非公認で当選した議員らが自民会派入りすることについて「自民会派入りは適切ではない」が52・0%に達した。「ある程度の期間を経た後であれば問題ない」は30・9%、「すぐに会派入りしても問題ない」は13・2%にとどまった。
調査では内閣支持率に関し、答えが不明確な場合は「どちらかと言えば」と再度、質問して回答を得た。
産経・FNN合同世論調査
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査では、与党との連携の可否を政策ごとに決める国民民主党の方針を支持する回答が65・1%を占め、「新しい意思決定の仕組み」(玉木雄一郎代表)に対する期待感が浮き彫りになった。年収が103万円を超えると所得税が発生する「103万円の壁」の解消などを巡り、与党との交渉で具体的な政策推進につなげられるかが焦点となる。
国民民主は、自民、公明各党との間で、「103万円の壁」引き上げなどの案件ごとに政策協議を行う方針を確認している。11日には石破茂首相(自民総裁)と玉木氏が党首会談に臨む方向だ。
国民民主が主張する「103万円の壁」の引き上げを巡り、世論調査では「引き上げるべきだ」との回答が77・2%に達した。
玉木氏は3日放送のBSテレ東番組で、引き上げは「有権者との約束だ」と述べ、自民が応じない場合は政権運営に協力しない姿勢を示している。「壁」が解消されなければ「国民民主に期待した人にとってもゼロ回答だ」とも指摘した。与党への牽制(けんせい)を重ねる玉木氏にとって、世論の賛同は追い風といえそうだ。
期待感は政党支持率にも表れている。10月5、6両日の前回調査で1・3%だった国民民主の支持率は、8・8ポイント上昇して10・1%となった。
今回の調査では、他の野党も前回より支持率を伸ばす傾向がみられたが、6・4ポイント増(13・7%)の立憲民主党、1・4ポイント増(3・5%)の共産党、1.3ポイント増(5・3%)の日本維新の会などと比較して、国民民主の上昇幅の大きさは際立っている。
政策ごとに態度を決める国民民主の方針を評価すると答えた人は、同党支持層に限ると83・9%に達し、自民支持層でも63・2%を占めた。一方、立民支持層では比較的低く51・1%にとどまった。(松本学)