群馬県は、独自の新ブランドサーモンとして「超絶サーモンV3」を開発した。ニジマスの一種で、サーモンには珍しく白身で味わえるのが特徴。宿泊施設と飲食店の計4カ所で提供している。県が独自に開発したサーモンは3種類目で、「超絶サーモン軍団」として売り出し、海なし県の水産業活性化に役立てたい考えだ。(羽物一隆)
サーモンは赤身が主流だが、実際は色素タンパク質含有量が少なく、白身魚に分類される。赤身になるのは、赤い天然色素「アスタキサンチン」を含むえさを食べるためで、この色素を含まないえさで育てると白身になる。
群馬県が新たなブランドサーモンとして開発した「超絶サーモンV3」=県提供
2番目の「ハコスチ」と同じく、箱島系とスチールヘッド系を組み合わせた。ハコスチは釣り専用で力強い引きが特徴だが、肉質も良く、食用に向けた飼育条件を厳格化し、それを守ったマスを「V3」と定義した。サーモンを飾ったぐんまちゃんのかぶり物で発表した山本一太知事は「インパクトある名前で、強く発信したい」と述べた。
V3は脂質含有量が100グラム当たり1.8グラムと、一般的なサーモンの13.9グラムと比べて少なく、タイやヒラメなどの海の白身魚とほぼ同じ数値だった。多汁感や水分量も海の白身魚に近く、淡泊でくせの少ない味わいで、加熱料理に適している。
ネギ焼きなどの料理を提供する嬬恋村の旅館「鹿沢温泉 紅葉館」の小林昭貴(てるたか)さん(50)は「くせがなく、扱いやすい魚。川魚が苦手な人でも食べやすいと思う。県特産の下仁田ネギと合わせることも考えて、このメニューにした」という。最高級サーモンとして最初に開発したギンヒカリも提供しており「地元食材の料理は観光客に喜ばれる。今回も期待したい」と話した。
V3の本年度の生産量は約2トン。県は2029年度までに20トンに増やすことを目標にする。