衆院選の投票結果が、あと1カ月に迫った12月の保険証廃止の行方に影響するのか。各党の見解は―。(マイナ保険証取材班)
◆「マイナめぐる公約を考慮して投票した」多く
マイナ保険証の公約を考慮して投票した人の多くは、現行の保険証廃止に否定的だった。裏金問題だけでなく、マイナ保険証への関心の高さもうかがえた。
◆自民と国民は12月廃止を支持
与党過半数割れとなった選挙結果を受け、各党は、現行の保険証廃止についてどう考えるのか。
東京新聞は開票後の10月30日、自民、立民、国民民主の3党に書面で見解を尋ねた。
自民は「マイナンバーカードの保険証利用によって、医療保険事務の効率化や患者の利便性の向上等が図られる」とし、現行の保険証を12月に廃止する方針を支持。他党からの政策提案を受けても見直す考えは「ない」と答えた。
国民も、自民と同じく12月廃止に賛同した。
◆立民・野田代表「総理になれば紙の保険証残す」
立民は、一定の条件が整うまで廃止を延期するとの考えを示した。「保険証廃止延期法案」を国会に再提出し、与野党にも賛同を呼び掛けるという。
12月の保険証廃止を巡っては、開票直後から各党党首も言及している。
立民の野田佳彦代表は10月27日夜、民放の番組で「総理になったら最初にすること」を問われ、「紙の保険証も使えるようにしたい」と発言。保険証の存続を優先政策の一つに挙げた。
これに対し、国民の玉木雄一郎代表は31日の会見で「医療データを活用した効果的な医療提供ができなければ、医療給付費の効率化もできず、社会保険料を下げられない」として、保険証廃止は「予定通りやるべきだ」と主張した。
◆石破首相「取り入れるべきは取り入れる」
12月廃止を堅持するとしていた石破茂首相は、開票翌日の会見で、マイナ保険証に直接の言及はなかったものの、「それぞれの党の主張に対して寄せられた、国民の共感や理解を謙虚に受け止め、取り入れるべきは取り入れるということに躊躇(ちゅうちょ)があってはならない」と述べていた。
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東京新聞の取材に対し、11月1日までに自民、立民、国民の各党が書面で答えた内容は次の通り。
◆自民「12月で現行保険証を廃止」
【現行保険証の12月廃止について】
12月2日で現行保険証の新規発行を廃止し、マイナ保険証に一本化する。
【その理由】
マイナ保険証への移行に際しては、施行日以降も、最大1年間、現行の保険証が使用可能であるほか、マイナ保険証を保有しない方には、当分の間、申請によらず各保険者において資格確認書を発行することとしております。
また、後期高齢者医療制度においては、ITに不慣れな高齢者が多いことや、75歳到達や転居に伴う後期高齢者医療への加入に際し資格取得届出の提出が省略されており、保険者との直接の接点がなく申請勧奨が困難という点を踏まえ、令和7年7月末までの間、新たに後期高齢者医療制度に加入された等により有効な後期高齢者医療被保険者証をお持ちでない方に対して、マイナ保険証の保有有無に関わら資格確認書を交付することとしています。
【他党との協議について】
今後、他党からマイナ保険証に関する政策提案を受けた場合、考え方を見直す余地はない。
◆立民「12月廃止を延期」
【現行保険証の12月廃止について】
12月2日の現行保険証の新規発行廃止を延期し、一定の条件が整うまで現行の保険証を存続させる
【その理由】
医療DXの推進は喫緊の課題であるものの「不安払拭なくしてデジタル化なし」です。マイナ保険証に対する国民の不安や疑問の声は強く、利用率はいまだ14%弱(9月時点)です。
国民皆保険の下、誰もが必要なときに必要な医療が受けられる体制を堅持するためにいったん立ち止まり、健康保険証の廃止を延期して、国民の不安払拭など一定の条件が整うまでは現在の健康保険証を存続させ、マイナ保険証の利用は本人の選択制とすべきです。
【他党との協議について】
「保険証廃止延期法案」を国会に再提出して、与野党に賛同を呼び掛けることを検討しています。
◆国民「12月で現行保険証を廃止」
【現行保険証の12月廃止について】
12月2日で現行保険証の新規発行を廃止し、マイナ保険証に一本化する。
【その理由】
現行のマイナンバー法で定められた分野以外の利用の際は、国民への丁寧な説明と合意形成を図ることを前提に、安全性の確保、行政の効率性、国民生活の利便性の向上が認められる項目のみを検討対象とします。
また、医療 DX の効果、メリットを国民にわかりやすく説明していくことが重要と考えます。
個人情報の流出や悪用を防ぐセキュリティの信頼性を高め、きちんとしたプロセスで政策決定や投資がなされ、濫用を防ぐ実効的なガバナンスの仕組みを定めた上で、マイナンバーやマイナンバーカードによって、政府はどのような社会を実現しようとしているのか青写真を国民と共有し、各種手続きにおける効率化や、利用範囲の拡大、利便性を高めていくことで、支持されると考えます。
【他党との協議について】
国民民主党は「対決より解決」の姿勢で各党と等距離で政策実現を図ります。
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