マイナ保険証めぐる公約「考慮した」人が多数 衆院選 紙の保険証廃止まで1カ月<ニュースあなた発アンケート>(2024年11月2日『東京新聞』)

 
<シリーズ 検証マイナ保険証>
現行の健康保険証の新規発行廃止まで、あと1カ月。
東京新聞「ニュースあなた発」で、読者らにアンケートを行ったところ、10月27日に投開票された衆院選で、大半の人がマイナ保険証に関する各党の公約を考慮して投票したと答えた。
12月2日の保険証廃止に否定的な人ほど、マイナ保険証への姿勢を重視し、投票先を選んでいた。(マイナ保険証取材班)

◆マイナ保険証の利用率、9月末でも14%弱

「ニュースあなた発」のアンケートは多様な声を聞き取るのが目的で、無作為抽出の世論調査とは異なる。
衆院選の投開票翌日から10月31日まで通信アプリLINE(ライン)で呼びかけ、男女522人から回答があった。
マイナ保険証の利用率は、9月末時点でも13.87%にとどまる。現行の保険証廃止には、いまだ不安や疑問の声が多く聞かれる。

◆7割がマイナの公約を考慮して投票

アンケートで、衆院選に投票したと答えた492人のうち、保険証を巡る公約などを考慮したと回答したのは338人と7割を占めた。裏金問題だけでなく、マイナ保険証への関心の高さもうかがえた。
12月廃止に反対する人のうち、7割以上が保険証に関する公約を考慮して投票していた。マイナ保険証への一本化を支持した人のうち、考慮したと答えた人は2割にとどまった。
492人のうち比例代表の投票先は、立憲民主党共産党が3割で並び、れいわ新選組が2割強だった。
共産党は「マイナンバーカードとの一体化に反対」、立民は「12月の廃止を延期」、れいわは「保険証を存続」と訴えていた。

◆「マイナ強制で今回は野党に投票」

マイナ保険証の一本化を支持する自民党公明党に投票した人は、いずれも1割に届かなかった。
「マイナ保険証の強制があったから、今回は野党に投票した」(東京都60代女性)という人もいた。
アンケートでは、マイナ保険証への見解も尋ねた。現行の保険証廃止を支持する人は29人で、全体の1割にも満たなかった。

◆現行の保険証廃止への支持、1割も満たず

反対意見のうち、「保険証廃止を撤回し、マイナ保険証と併存」は190人、「保険証廃止を延期し、一定の条件が整うまで存続」は78人、「マイナ保険証の導入に反対」は216人だった。
理由として「両方の良い点、悪い点があるから、共存させるのがベストだと思う」(神奈川県40代女性)、「準備や周知が追いつかない状態では混乱する」(滋賀県40代女性)、「そもそもマイナンバーカードが任意」(東京都50代男性)などの声が寄せられた。

◆「不具合多い」「紛失心配」「便利だ」

アンケートには、マイナ保険証に関して、次のような意見も寄せられた。
「医療関係者です。不具合が多すぎる」(東京都40代男性)
「少し医療費が安くなると言われたので使っていますが…顔認証ではエラーになる」(東京都60代女性)
「マイナカード自体を持ち歩きたくない。紛失等のリスクが心配」(千葉県60代男性)
「一方的に決められた期間に、マイナ保険証に切り替わることに不満がある。個人情報の流出などの不安もあるのに、政府から丁寧な説明もない」(東京都50代女性)
「マイナ保険証を使ったことがあるが、投薬記録が残り便利」(千葉県60代男性)
「マイナ保険証は使っていますが便利だと思います。早く全国的に広がればと思います」(広島県70歳以上男性)
「現行保険証に不便を感じていない」(東京都30代女性)
「クリニックの受け付けでトラブルになっているのをよく見る。その度に受付業務が滞っていた」(神奈川県60代女性)
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