「国民の懐を豊かにすることを最優先に考えていきたい。全くやらないのであれば、当然協力できない」
◆103万円の壁、玉木氏は「ゾンビ税制」と批判
会社員やパートなどの給与は、給与額面から一定額を差し引く基礎控除(最高48万円)や給与所得控除(最低55万円)がある。この控除額の合計103万円を超えると、所得税が課税される。働き手側がこのラインを意識して労働時間を抑制することで、人手不足に拍車をかけていると指摘される。
103万円の控除額は1995年から据え置かれ、玉木氏は「ゾンビ税制」と批判する。1995年からの最低賃金の上げ幅に合わせ、控除額の178万円への引き上げを主張、減税額を年収200万円の人は8万6000円、年収500万円の人は13万2000円と試算する。
◆高所得者ほど減税額は大きくなってしまうが…
実現には課題もある。所得に応じて税率が上がる累進課税制度の下、高所得者ほど減税額は大きくなり、公平性が問題となる。また、税収は減る。林芳正官房長官は31日の記者会見で、控除額を178万円に引き上げた場合、国・地方で7兆~8兆円程度の減収が見込まれると指摘した。
財源に関し、玉木氏は「増えすぎた税収をお返しする」と説明するが、野村総研の木内登英氏は「財政赤字が恒常的に続く状況で、増えた税収を返すというのは理解しにくい。基礎控除の引き上げは、低所得者に的を絞るべきだ」と話す。
◆大きな税収減につながる政策、財源は?
国民民主はガソリン税を一時的に引き下げる「トリガー条項」の発動や、賃金上昇率が物価上昇率より年率2%を上回るまでの消費税率5%への引き下げにも意欲を示す。いずれも大きな税収減につながる政策で、財源確保は懸案だ。
自民は31日、国民民主との円滑な協議のため、両党政調会長による会議体設置を提案したが、国民民主側は「案件ごと」の対応を主張した。政権運営の安定を狙う与党と、公約の実現を目指す国民民主との綱引きは今後激しくなりそうだ。