危険運転致死傷在の成立が争点となった主な事故
危険運転致死傷罪は、悪質運転の厳罰化を目的に2001年の刑法改正で新設された。致死罪の最高刑は懲役20年と極めて重いが、事故の被害者や遺族らから適用のハードルが高いと問題視する声も出ていた。
危険運転致死傷罪創設のきっかけは、東京都世田谷区の東名高速道路で1999年に起きた飲酒運転追突事故だった。女児2人が亡くなったが、運転手は業務上過失致死傷罪などで懲役4年の実刑が確定。当時、同罪の最高刑は懲役5年だったこともあり、世間から「軽すぎる」との批判を受け、国が動いた。14年の自動車運転処罰法の施行時に刑法から移された。
だが、過失運転致死傷罪は過失責任を問うのに対し、危険運転致死傷罪はアルコールや薬物の影響で正常な運転が困難▽制御困難な高速度▽赤信号を殊更に無視――など計8種類の要件のいずれかに該当し、故意に人を死傷させた場合に限り適用される。立証が難しいとされてきた。