天皇、皇后両陛下が主催する秋の園遊会が30日、赤坂御苑(東京・元赤坂)で開かれた。4月に春の園遊会でデビューした両陛下の長女愛子さまにとって、今回は2回目。気になるのが、皇族の方たちの「並び順」だ。象徴天皇制に詳しい名古屋大学准教授の河西秀哉氏に話を聞いた。
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園遊会当日のお昼前には、前日まで降り続いた冷たい雨がやみ、心地よい秋の日差しが降り注ぐ中開催された。
園遊会は天皇、皇后両陛下が主催し、各界の功労者たちと懇談する行事で、今回はやり投の北口榛花選手や柔道の阿部一二三選手など、パリオリンピック、パラリンピックの金メダリストのほか、建築家の隈研吾さんや、歌手で俳優の杉良太郎さんなど、約1400人が出席。
愛子さまが出席するようになって、立ち位置にも注目が集まった。愛子さまは、紀子さまの次、佳子さまの前に並ばれるが、象徴天皇制に詳しい名古屋大学准教授の河西秀哉氏は「このような順番になっています」と話す。
「天皇陛下と皇后雅子さまの後に、皇位継承順位1位で皇嗣の秋篠宮さまと皇嗣妃の紀子さま、天皇家の内親王である愛子さま、そして皇嗣家の内親王である佳子さまという順番です。これは皇室典範にある“身位(しんい)”通りの並び順です。
秋篠宮家の長男、悠仁さまは、9月6日に18歳の誕生日を迎え、成年に仲間入りされた。今回の園遊会には出席されなかったが、今後、ご出席される場合、このご身位からすると、「秋篠宮さまと紀子さまの間か、秋篠宮ご夫妻の隣か、いずれにしても愛子さまの前になります」と河西氏は付け加える。
■期待したい愛子さまのサポート
「ご身位自体は揺るぎのないもの」と前置きをしたあとで、河西氏は「必ずしもこの順番で並ぶということもないのでは」と話す。天皇陛下と皇后雅子さまと、その娘の愛子さまが並ぶメリットを、河西氏はこう説明する。
「愛子さまの母である雅子さまはお元気に園遊会に出席されていますが、体調は快復途上ではあるので、“母のサポート”という役割のもとでそばにいるのはいいのではないかと思います。そういう点からは、必ずしもご身位という規定に厳密に沿わなければならないというのはないのでは」
ご家族が並ぶことにより、懇談の場が和むことも期待される。
春の園遊会では招待者のひとり、現代芸術家の横尾忠則さんと雅子さまの「猫談義」が話題になった。続いた愛子さまも横尾さんと猫のお話しをされている。天皇陛下、雅子さま、そして愛子さまと横尾さんご夫妻の5人であったら、さらに猫談義に花が咲き、懇談の場も和んだのではないだろうか。
だが、ご家族単位での並びが実際に実現するかというと、「難しいのでは」と河西氏は話す。
「天皇陛下が“やりましょう”といえばご家族単位での並びになるでしょうが、そのような並び順にしてしまうと、皇嗣で弟の秋篠宮さまより、娘の愛子さまが上に見えてしまうことに気を遣われると思います。宮内庁も前例主義を採るのであえて変更はしないのではないでしょうか」
今回の秋の園遊会でも、天皇、皇后両陛下、そして愛子さまのお人柄がにじみ出る、終始笑顔に包まれた会話を楽しませてもらった。ご家族ではどんなやりとりをされているのか、園遊会のたびにそんなことにも思いを馳せてしまうのだ。(AERAdot.編集部・太田裕子)