衆院比例代表 大敗自民の影で公明、共産退潮あらわ 国民れいわが躍進 立民は0・6%増(2024年10月29日『産経新聞』)

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衆院選比例代表で党勢低迷に歯止めがかからない公明党石井啓一代表(左)と共産党の田村智子委員長
国政選挙は実際の獲得議席に加えて、比例代表の得票数が党勢を図る「バロメーター」となる。27日投開票された衆院選で、公明党は596万票で前回の令和3年衆院選の711万票から114万票減らすなど党勢の退潮傾向に歯止めがかからなかった。また、自民党の派閥パーティー収入不記載事件を党機関紙が最初に「スクープ」した共産党も336万票にとどまり、前回選の416万票から80万票減らした。両党は支持者の高齢化という構造的な課題を抱えている。
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■自民は26%減
公明党にとって今回の衆院選は支持母体の創価学会池田大作名誉会長を昨年11月に亡くして初めて臨む国政選となったが、比例票は平成8年以降の現行制度で過去最少を記録した。比例票は17年衆院選での898万票をピークに減少傾向にある。今回は新体制で臨んだが、石井啓一代表も落選し、近く辞任を表明する見通し。
共産党も近年では26年の衆院選で606万票を得たが、党員の高齢化や機関紙「しんぶん赤旗」の読者数減少など党勢は後退している。今回はしんぶん赤旗が、自民党が不記載事件を巡って公認しなかった前議員が代表を務める政党支部に2000万円を振り込んだ問題を選挙期間中に報じるなど存在感を発揮したが、得票の回復に結び付かなかった。
不記載事件で逆風に直面した自民党は1458万票で、前回選の1991万票から533万票減らした。26・8%減で、得票の減少数は各党で最大だった。国政選挙の比例で1400万票台に落ち込んだのは平成22年参院選以来となった。
立憲民主党は148議席を獲得し、公示前に比べて50議席上積みした。各党で議席増数は最も多かったが、比例の得票数は1156万票で、令和3年衆院選の1149万票の0・6%増と微増にとどまった。
■国民は共産分増やす
日本維新の会は拠点とする大阪府の19選挙区全てを独占し、大阪を初めて「完全制覇」したものの、比例の得票数は510万票で前回の805万票に比べ、36・5%減となった。
国民民主党は公示前勢力の4倍となる28議席を得た。比例票も前回の259万票から617万票と2・4倍と躍進した。上積みしたのは357万票で、共産党の得票数を上回った。