▽本能
「私は戦前に生まれ、敗戦後のひどい状態を見てきた。当時は天皇制は不要という思いもあった」。
1929年生まれの園部さんは今年4月のインタビューで率直に語っていた。
その上で「日本人は本能的に天皇制が良いと感じている。深く考えずに存在を肯定している」との認識だった。特に皇室制度に関しては「無関心だろう。天皇が国民にとって、どのような意味があるかを考えている人は少ない」と続けた。
一方、天皇制の是非について、醸成してきた自身の本心を明確にすることはしなかった。
▽平等
園部さんの足跡をたどると、その一端が垣間見える。
世界各国で女性の首脳が選出される中、日本は依然、男性中心の社会を脱せずにいる。皇位継承議論が停滞する理由もそこにあるとの考えをにじませた。
社会意識の変化を踏まえ、一人一人が天皇の存在意義に立ち返り、ふさわしい制度が構築されるよう最後まで願っていた。
「皇室典範に関する有識者会議」に臨む小泉首相(当時・右端)ら=2005年11月、首相官