もどかしい…(C)日刊ゲンダイ
拡大する
きっかけは日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」の2022年11月6日号のスクープだ。この報道を受け、神戸学院大学の上脇博之教授(66)が派閥の政治資金収支報告書などをコツコツと調査。派閥と所属議員のカネの出入りが合わず、パーティー券収入の一部が裏金化しているのではないかと検察に告発した。そして23年秋ごろに事態が大きく動き出し、現職国会議員が逮捕される前代未聞の事件に発展した。
その後、自民党内では組織的かつ常習的に裏金作りが行われていたことが分かり、国民の怒りが爆発。さらに「しんぶん赤旗」は今選挙終盤になって、自民党が裏金事件を理由に非公認とした候補にも2000万円を振り込んでいた事実をつかみ、「裏金候補に裏金で裏公認」として、さらなる怒りの火に油を注いだわけだ。
つまり、「しんぶん赤旗」の報道や上脇教授の地道な活動が今選挙の結果につながったのだが、もどかしいのはこうした一連の動きが共産党の票に結びつかなかったことだろう。共産党は今回、立憲など野党5党の「共闘」が整わず、小選挙区で前回のほぼ倍の213人を擁立。しかし、結果は公示前の10議席を下回る8議席だった。
SNS上ではこんな声がある。
《上脇先生のご奮闘と赤旗のスクープなくして、立憲民主と国民民主の勝利はなかったでしょうね。みんな感謝しよう》
《党名を変えれば必ず大躍進》という投稿も目立つのだが、2009年2月4日付の「しんぶん赤旗」は<「いま共産党が注目されている。党名を変えたらもっと支持が広がるのでは」という人がいます。党名を貫いているのはなぜですか?(北海道・一読者)>という「問い」に対してこう答えている。(抜粋)
<選挙で前進するためには、日本共産党そのものをよく知ってもらうことが大事で、理解してもらえば「イメージが変わった」と言ってくださる人が少なくありません。「日本共産党」という名前に、どういう理想と歴史が込められているかを、ぜひ知ってもらうことが大切です>
<日本共産党は、まず、資本主義の枠内での民主的改革をめざしていますが、未来の展望として資本主義を乗り越えた社会--社会主義・共産主義の日本を展望しています。日本共産党という党名には、この理想が刻まれています。共産主義(英語でコミュニズム)の語源は共同体(コミューン)と同じです。この名前には「真に平等で自由な人間関係からなる共同社会」(日本共産党綱領)をめざすという意味が込められています>
<人間の社会は資本主義で終わりではなく、日本でもやがて「もうけ第一主義」を乗り越えた社会への前進が課題になるでしょう。この認識は、日本共産党だけのものではありません>
つまり、政党名に込められた理念や思いを理解してほしいというわけだが、「党名を変更したら」との声は強まるばかりのようだが……。
◇ ◇ ◇
自民が惨敗した裏金総選挙。