公明党の石井啓一代表(66)の衆院選敗退で党内が大混乱に陥っている。石井氏は先月28日に代表に就任したばかりだが、落選を受けて31日にも辞任を表明する見通しだ。自民、公明両党の過半数割れで政局が流動化する中、後任の人事に頭を悩ませている。
■自民への恨み節も
石井氏は28日、党本部で記者会見し、自身の落選について「国会議員でなくなり、代表を続けるといろんな困難が伴う」と述べた。同時に、「私の力不足が全てだが、背景には『政治とカネ』の問題で厳しい逆風もあった」と述べ、自民党への恨み節を漏らした。
党内に衝撃が走るのも無理はない。石井氏は長年、山口那津男前代表(72)の後継として期待されており、先月末にようやく代表に就任したばかりだ。
これまでは比例代表を中心に選挙戦を戦ってきた石井氏だが、「党の顔」としての箔をつけるため、比例代表への重複立候補はせず衆院埼玉14区に挑戦した。だが、与党への批判の嵐がやまない中での戦いとなり、敗北した。党関係者は「完全にもらい事故だ」とため息をついた。
■早々に党の顔を選ぶ必要
わずかひと月あまりで辞任を余儀なくされた石井氏だが、政権を担う公明としては早々に新代表を選ぶ必要がある。来年度予算編成や大型選挙が控える中、新代表には「党の顔」としての魅力に加え、不安定な政局を乗り切る力量も求められそうだ。
一方、「次世代のホープ」として同5回の岡本三成政調会長(59)の名前も挙がる。外資系金融機関から政界に転身した岡本氏は実務能力が高いとの評価がある。「党の顔」として山口氏の再登板を期待する声や、女性党首として参院当選3回の竹谷とし子副代表(55)を推す声もあるが、新代表はいばらの道を歩みそうだ。(長橋和之)