自公、衆院の過半数失う 石破首相「政治とカネ、全く理解いただけなかった」 与野党の連立工作必至に(2024年10月28日『東京新聞』)

 
 第50回衆院選が27日、投開票された。自民党派閥の裏金事件を受けて政治不信が高まる中、各党の政治改革への姿勢が問われた選挙で、自民、公明の与党は裏金事件で非公認となった前議員らを含めても過半数の233議席を下回った。裏金事件の当事者にもかかわらず、信頼できる政治に向けた取り組みが不十分だと有権者が判断した。与党の過半数割れにより、連立政権の枠組みを巡る政党間の協議が焦点となる。立憲民主党は140議席を超え躍進、国民民主党は公示前の3倍以上の議席を得た。(坂田奈央)

◆首相は政権維持に意欲「政策の実現に向けて最大限努力」

 自民の単独過半数割れは、政権交代を許した2009年の衆院選以来15年ぶり。石破茂首相(党総裁)が勝敗ラインとして掲げた与党過半数を下回ったことで、首相ら執行部の責任論が党内で浮上することは避けられない情勢だ。
自民党本部の開票センターで当確者の名前にバラを付ける総裁の石破首相(中央左)と菅義偉副総裁(同右)=27日、東京・永田町で(七森祐也撮影)

自民党本部の開票センターで当確者の名前にバラを付ける総裁の石破首相(中央左)と菅義偉副総裁(同右)=27日、東京・永田町で(七森祐也撮影)

 首相は27日夜、フジテレビ番組で「政治とカネの問題について全く理解をいただけなかったことが一番大きかった」と振り返った。テレビ朝日番組では進退に関し「掲げた政策の実現に向けて最大限努力していかないといけない」と政権継続に意欲を示し、別の番組では与党過半数割れ後の政権運営について「連立か、閣外協力か、いろいろなやり方がある」と述べた。

◆立憲・野田代表は野党連携重視、国民・玉木代表は自公との協力にも含み

 立憲民主党野田佳彦代表は28日未明の記者会見で「自公政権の存続を望まず(通常国会で)内閣不信任案を出した政党とは誠意ある対話をしていきたい」と述べ、他の野党との連携を重視する考えを示した。一方、国民民主党玉木雄一郎代表は27日のフジテレビ番組で「政策本位で一致できるところはどの党とも協力していく」と話した。

◆現職閣僚の敗北目立つ 公明は石井啓一代表が議席失う

 今回の衆院選は、裏金事件に対する自民党の対応が大きな焦点となった。政治資金収支報告書に不記載があった裏金議員で非公認となった12人と、公認されたが比例代表の重複立候補が認められなかった34人、計46人のうち、18人が当選し、28人が落選した。
 現職閣僚では、愛知8区の伊藤忠彦復興相、鹿児島3区の小里泰弘農相らが小選挙区で敗れた
 公明は候補者を擁立した11小選挙区で全勝を目指したが、埼玉14区で石井啓一代表が落選するなど、7選挙区で敗北した。自民で非公認となった2人を含めて大半の裏金議員を推薦し、野党から「共犯」と批判を受けたことも響いた。

◆立憲民主は躍進 国民民主、れいわは議席倍増

 立民は議席を積み上げ、公示前の98議席から40議席以上増やした。主要野党の候補一本化を進められずに多くの選挙区で他の野党と票を奪い合ったが、政権与党への批判票の受け皿となった。
 日本維新の会は地盤とする大阪を中心に議席を得た。共産党は沖縄1区で議席を確保し、比例でも積み上げた。国民民主党は公示前から3倍超、れいわ新選組は公示前から2倍超となった。社民党は公示前議席を維持。参政党は公示前の1議席を超える議席を確保、日本保守党は愛知1区で議席を得た。
 衆院選小選挙区比例代表を合わせて1344人が立候補。計465議席小選挙区289、比例代表176)を争った。
 
 
衆院選2024

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