「偽装非公認」との指摘も出る中、石破茂首相(自民総裁)はあくまで党支部に充てたものだと主張。ただ、報道に責任を転嫁するなど説明には苦しさがにじむ。党内からも執行部の対応を疑問視する声が続出。逆風は一段と強まっている。
「候補者にカネなど出してはいない。政党支部に出している」。24日、広島市の街頭演説で初めてこの問題に触れた首相は、非公認候補に対する選挙資金の提供ではないとの認識を強調。「報道に負けるわけにはいかない」とあたかも事実がゆがめられたかのように振る舞った。
自民は同日、一連の経緯を説明した文書を公表した。それによると(1)10日付で公認候補の党支部に公認料500万円、活動費1500万円の計2000万円(2)衆院選の公示直後の16日付で非公認候補の党支部に同額の活動費2000万円―をそれぞれ支給。「党勢拡大」に充てるもので、非公認候補の選挙運動に「使うことはできない」と明記した。
非公認候補への対応を巡り、首相は「甘いとかいいかげんとは一切考えていない」と繰り返してきた。しかし、実質的に公認料を含む活動費を支出したことが明らかになり、従来の主張は破綻気味だ。
党支部による「党勢拡大」が、非公認候補への支援を含む可能性は否定できない。「説明になっていない」「こんな内容なら出さないほうがましだった」。文書を読んだ党関係者は口々に不満を漏らした。
日本維新の会の馬場伸幸代表は記者会見で「首相に対する期待は急速にしぼんでいる」とこき下ろした。共産党の田村智子委員長は松山市の街頭演説で「党勢拡大は選挙活動そのものだ」と指摘。国民民主党の玉木雄一郎代表も広島市で「子どもの言い訳が通じると思うのか」と切り捨てた。
自民内でも「全国に波及し、急速に支持を落としている」(中堅)と衆院選への危機感が強まっている。「首相指名選挙もどうなるか分からない」。党関係者は与党過半数割れの可能性を念頭に、選挙後も緊迫した状況が続くとの見方を示した。
「news23」石破首相が憤慨「憤り覚える」 怒って語った言い分を伝え→キャスターが「うーん」 2千万円支給問題「選挙にも一切使わない」言質とる(2024年10月25日『デイリースポーツ』)
24日のTBS「news23」は、石破茂首相が「怒りの反論」として発言を伝えた。
暗くなっても熱弁 有権者に訴えかける石破首相
共産党機関紙「しんぶん赤旗」の報道を受け、自民・森山裕幹事長が23日に、裏金問題に関係して衆院選で非公認となった候補が代表を務める党支部に活動費を支給していたと認めた件。党関係者は、公認の有無にかかわらず党支部に2千万円を支給したと説明。森山幹事長は「候補者に支給したものではない」と主張していた。
「news23」では、石破首相が24日に大阪での演説で、「自民党は非公認に2000万円出してるんだってみたいな報道があります。そんなことはありません。候補者がそのような金を使うことは一切ございません」と述べている映像を伝えた。
広島での演説では「このような時期にそのような報道が出ることは誠にもって憤りを覚えるものであります」と述べたとも伝えた。
今回の件に対しては、事実上、党支部=候補者だとの批判がある。
石破首相は岡山での演説でも「政党はそれぞれ地域において、自由民主党の政策、訴えを広報する、それを宣伝する、党活動するそいうことは常に必要であります。候補者には出しません。選挙活動にも一切使いません」と強い口調で語ったことも伝えた。
また政権幹部が「報道は印象操作というか見方によっては選挙妨害だよね」と話しているとも伝えた。
これを受けてスタジオで藤森祥平キャスターが「うーん」とうなってから、次のニュースに移った。