相次ぐ強盗事件『若者の闇バイト』が関与か 警察庁が啓発動画で異例の呼びかけ「非常に深刻な事態と認識」(2024年10月24日『関テレニュース』)

関東を中心に相次ぐ強盗事件では、若者たちの“闇バイト”の関与が指摘されています。 24日、警察庁のトップがこの問題に言及。

■【動画で見る】応募したバイトが闇バイトかも…と思ったらどうすればいい?菊地弁護士が解説 若者たちにとって“闇バイト”はどれだけ身近なものなのか、取材しました。

■「非常に深刻な事態と認識」警察庁YouTubeで異例の呼びかけ

24日、正午ごろ。 【警察庁 露木康浩長官】「国民の体感治安に大きく影響を及ぼしており、非常に深刻な事態であると、警察としても認識しております」 「最も重要なことは、首謀者を一刻も早く逮捕すること」 相次ぐ強盗事件に関して、首謀者の逮捕に全力を挙げる考えを示した警察庁長官。 一連の強盗事件では、実行犯が“闇バイト”で集められたとみられています。そこで先週、警察庁は異例の動画を投稿しました。その内容が話題を呼んでいます。 【YouTube警察庁公式チャンネルより】「警察から今、このような犯罪に加担しようとしている方に伝えたいことがあります」 こう語りかけたのは警察庁の幹部。そして…。 【YouTube警察庁公式チャンネルより】「自分自身や家族への脅迫が理由であっても、強盗は凶悪な犯罪です。犯罪にかかわってはいけません。勇気を持って抜け出し、すぐに警察に相談をしてください」 闇バイトにかかわってしまった人でも「警察は、あなたや家族を確実に保護します」と呼びかけました。 警察庁がここまで力を込める背景には、止まらない若者の闇バイトへの応募があります。 横浜市の強盗殺人事件で逮捕された実行犯は、警察の調べに対し…。 【逮捕された実行犯】「SNS上で『ホワイト案件』という投稿を見つけて応募した」 さらに、指示役に身分証などを提示していて、「家族にも危害が加えられるかもと考え、断れなかった」などと話していることが分かっています。 【YouTube大阪府警察安まち公式チャンネルより】「最初は稼ぎたいだけだった」 「やめたかった。でも脅された」 「闇バイトは犯罪」 大阪府警も啓発動画で、安易に闇バイトに手を出さないよう呼びかけていますが…。

SNSの広告や「知らない人にフォローされて…」

実際に、若者たちの身近に闇バイトの勧誘はあるのか、街で聞いてみました。 【男子高校生】「動画の広告とかで、おすすめのバイトみたいなの、これワンチャン“闇バイト”かなって。『荷物受け取るだけ』とか。本当にあるんだ、と」 「説明不足のやつ、怖いよね」 【女子高校生】「TikTokで知らない人にフォローされて、その人のリンク貼ってあって、『これに飛べば何円稼げます』『登録すれば稼げます』みたいな」 その画面を探してもらいましたが…。 【女子高校生】「ない…」 Q.消されてる? 【高校生】「残ってないです」 【18才男性】「(ネットで)普通のバイトと一緒に掲載されてる時があるんですよ。する内容は行った時に教える、みたいな。時給とか詳細は書いてないけど、勤務地だけ書いてる」 若者の身近に迫る“闇バイト”。軽い気持ちで始めると、一生を棒に振ります。

■“警察幹部が出演で呼びかけ”、“家族まで保護する”は異例

「闇バイト」による強盗など凶悪な事件が相次ぐ中、警察が、犯罪に加担しないよう呼びかける動画を公開しました。 【関西テレビ 神崎博報道デスク】「警察庁の幹部の人がこのように動画に出て訴えるのはまず異例です。さらに闇バイトに応募して、脅されている家族・危害を加えると脅されてる人は、警察に相談すると本人だけではなく、脅されている家族も保護するということも異例のことです」

■菊地弁護士解説「“闇バイト”の罪の線引き」

番組コメンテーターの菊地幸夫弁護士に詳しく聞いてきいていきます。 警察が言うように保護を求めたら罪には問われないのかどうなのか。 そして罪の線引きはどこにあるのでしょうか。 まず闇バイトには、大きく分けると3段階(応募・準備・実行)あります。 「実行」をしてしまうと、強盗、強盗傷害などの罪、強盗殺人、強盗致死の場合は、「無期懲役又は死刑」といった非常に重たい罪に問われる可能性があります。 では、「応募」しただけ、応募した後、「準備」に関わってしまったら罪に問われるのでしょうか。 【菊地幸夫弁護士】「『応募』と『準備』の間に1つの線があります。『応募』だけだと、例えば『これはホワイト案件です。安心してください』とか書かれているので、まだ犯罪だと分かってない、認識してないので、法律的には故意がないということにもなり、まだ罪にならない可能性も高いです」 「ところがその線を越えて、『準備』になると、目出し帽やナイフ、結束バンドとかを準備することになると、『あ、これは強盗かな』というのが分かってると、強盗予備罪という、最後の『実行』の段階に行かない前でも、犯罪になり得ます」

■「準備に参加した時点で罪になるが、途中で抜けることで罪が軽くなる可能性も」

警察の呼びかけで、保護を求めればという話もありましたが、準備段階で警察に保護を求めた場合はどうなるのでしょうか。 【菊地幸夫弁護士】「一応、強盗予備ということで犯罪が成立しています。ただ例えば、その段階で抜けたことによって、結局『実行』に誰もいかなかったということになれば、もしかしたら軽い処分で終わるかもしれません。残りのメンバーで『実行』されても、“途中で抜けた”というのは評価されて、その分だけ軽くなるということはあり得ると思います」 保護を求めても、罪に問われないわけではないけど、軽くなるケースもあるということです。

■もし関わってしまったら…「どの段階でもいいので引き返して!」

闇バイトに関わらないためにはどのようなことを心がければいいでしょうか? 【菊地幸夫弁護士】「まず一つは、色々勉強して『これは闇バイトだ』と見抜いて欲しいです。仮に応募してしまったら、『これは闇かな』と感じたら、もうどの段階でもいいので、早ければ早いほどいいですけど、引き返してください。そうすれば保護を求められます。あるいは“強盗予備”に行ったとしても、刑が軽くなる。『実行』に行ったとしても、途中でやめて、早く帰ってくることで、罪を軽くする1つの原因になりますので、勇気を持って逃げてください」 信頼できる大人、警察に勇気を持って保護を求めることも大切です。 深みに入ると取り返しのつかないことになりますのでお気を付けください。 (関西テレビ「newsランナー」2024年10月24日放送)