ローカル政党からの脱却を見据える
日本維新の会が、地盤となる関西で人気に陰りが見え始めている。情勢調査では、公示前43
議席から減らすと見る向きが多い。比例での支持が広がっていないことが要因とみられる。
共同代表の吉村洋文
大阪府知事の影響力も低下。公示後初の週末となった19日、兵庫・姫路駅前で兵庫11区の維新公認候補・住吉寛紀氏の応援演説に立ったが、雨の影響もあり駅前に集まったのは約200人。党関係者は「以前は吉村さん、松井(一郎元
日本維新の会代表)さんが来た時には2000人は来た」という。別の関係者は「やっぱり万博の評判が関係しとんちゃうかな?」と苦笑いだ。
維新は、今回の
衆院選で野党第1党、次回で政権奪取という戦略を立ててきた。昨年4月の
統一地方選では目標に掲げた「地方議員600人以上」を達成する全国的な躍進を遂げていた。
しかし、ピークはここだった。その後に状況は一変した。2025年大阪・関西万博の誘致を中心となって推進し実現させたが、建設費用が当初の想定の約2倍となる最大2350億円まで膨らみ、「身を切る改革」を打ち出している党にとっては痛手。さらに追い打ちをかけたのが、
兵庫県の斎藤元彦前知事の
パワハラ疑惑を巡る告発文書問題。知事選では
自民党とともに推薦したが、自民は辞任を求めるなど距離を置いた一方、維新は対応が後手に回った。
党内に大きな衝撃が走ったのは、8月の
大阪府箕面市長選。
大阪維新の会公認の現職・上島一彦氏が、無所属新人にダブルスコア近い票数で敗北を喫した。維新公認の現職首長の落選は2010年の結党以来初。それも牙城の大阪でのことだ。
今回、
自民党の裏金事件を受けて非公認で立候補した
西村康稔元
経済産業相の兵庫9区に、初めて党公認の加古貴一郎候補を擁立した。17日にJR
明石駅前で行った演説では、サラリーマンの帰宅時間帯にもかかわらず足を止めた人はまばらだった。党関係者は「公示日に立民の
野田佳彦さんが演説したときは、5~6倍の人がびっしりと集まっていた。今回はかなり苦しい」と失速具合を実感していた。このまま衰退に向かうのか、厳しい戦いとなっている。