テレ朝は「有働由美子」選挙特番起用でテレ東「池上彰」に勝てるのか? TBSは「太田光」再登板で「小川彩佳」は落選(2024年10月18日『デイリー新潮』)

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 10月27日投開票の第50回衆議院議員総選挙に向け、各テレビ局の選挙特番のメンツが出揃ってきた。過去2回の衆院選特番と比べると、それぞれの傾向と対策が見えてくる。
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 まずは過去2回の衆院選特番を見てみよう。
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各局の衆院選特番
 2017年10月22日に投開票された第48回衆院選は第3次安倍晋三内閣の時で、首相自ら“国難突破解散”と命名した。
 選挙特番の視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯:以下同)トップは、やはりNHKの「開票速報」だった。「クローズアップ現代+」の武田真一アナをはじめ「ニュース7」の鈴木奈穂子アナ、桑子真帆アナらを起用し、19時55分からの前半で17・1%、21時からの後半も14・2%を記録した。
 2位はテレビ東京の「池上彰の総選挙ライブ」(19時57分~)で9・8%。容赦のない質問や指摘を政治家に浴びせかける“池上無双”と呼ばれた選挙特番で、民放トップとなった。
 3位につけたのが日本テレビの「zero×選挙」(19時58分~)で9・3%。4位は富川悠太アナがキャスター時代の「選挙ステーション」(19時57分~)で8・8%だった。
 民放プロデューサーは言う。
「4位までが激戦と言っていいでしょう。各局とも投票が締め切られる20時の数分前から選挙特番をスタートしていますが、この年、5位のフジテレビが20時台に放送していたのは、なんとボクシング中継でした。村田諒太VSアッサン・エンダムの世界ミドル級タイトルマッチを19時から21時半まで中継し、その後に『FNN選挙特番 ニッポンの決断!』を宮根誠司さんと伊藤利尋アナでスタートさせました」
 事前に購入した放映権の問題もあるだろうが、敵前逃亡のようにも見える。
TBSが最下位に
「最下位となったTBSは『選挙スタジアム』(19時57分~)を放送しました。この番組は前年の参院選から始まり、最初の総合司会は『ひるおび!』の恵俊彰が務め、視聴率は5・5%。これではマズいと思ったのか、17年の衆院選では『Nスタ』の井上貴博アナとホラン千秋が務めたのですが、数字は変わりませんでした」
 21年10月31日の第49回衆院選は第1次岸田文雄内閣の時で、記者団に問われた安倍元首相が“コロナ脱却・V字回復解散”と名付けた。もっとも、とある自民党議員は“大急ぎ解散”、立憲民主党枝野幸男は“逃げ恥解散、一強政治終焉解散”と命名している。
「前回の衆院選特番では民放の順位が変わりました。1位はNHKですが、2位は日テレ『zero選挙』の10・8%で、4回連続で選挙特番の民放トップだったテレ東『池上彰 総選挙ライブ』(7・6%)を3位に引きずり下ろすことに成功しました。『zero選挙』の司会を務めたのは、18年から『news zero』のキャスターとなった有働由美子アナでした」
 元NHK同士の戦いは有働アナが制した。
大越・有働アナへの豪華リレー
「4位につけたのがテレ朝『選挙ステーション』で、同年10月に『報道ステーション』のメインキャスターに就任したばかりの元NHK大越健介キャスターの司会でしたから、NHK三つ巴の戦いとなりました。ちなみに、フジの選挙特番は19年の参院選から『Live選挙サンデー』となり、他局と同じ20時前からの放送となりました。もっとも、視聴率は21時からの数字しか発表されていません。そしてTBSは、この衆院選からスペシャルMCとして爆笑問題太田光を投入するようになりました。あまりに数字が取れないため、いわば飛び道具的に起用したのでしょう」
 TBSのプロデューサーは太田の起用について「政治家と『言葉』を介して向き合える唯一の芸人さんである太田光さんをスペシャルMCに迎えて、“私たちのミライ”を政治家に忖度なく問います」と発表したが、力みすぎた太田の政治家への発言が「失礼すぎる」とSNSで炎上する事態に。視聴率は微増だった。
 そして今回の衆院選石破茂首相は“日本創生解散”と命名した。
NHKは『ニュース7』の糸井羊司アナ、副島萌生アナ、中山果奈アナらを起用する見通しで相変わらずですが、やはり強いでしょうね。前回、民放1位となった日テレは有働アナが『news zero』を降りたため、現キャスターの藤井貴彦アナと櫻井翔がメインを務めることが発表されました。一方、有働アナはテレ朝で冠番組『有働タイムズ』がスタートしたため、今回は『報ステ』の大越キャスターと『大下容子ワイドスクランブル』の大下容子アナと共に『選挙ステーション』を務め、続く『有働タイムズ』で有働アナが選挙速報を行うことが公表されています」
NHKの青井アナも参戦
 前回の衆院選でライバル関係にあった2人が今回はタッグを組むわけだ。しかも、2人とも元NHKの豪華リレーである。
「フジは宮根誠司さんを前回に引き続き登板させる予定です。彼は『有働タイムス』の裏番組である『Mr.サンデー』の司会であり、選挙特番でもぶつかるわけですからうかうかしていられないでしょう。そのフジの『Live選挙サンデー』は、4月から『Live News イット!』のメインキャスターに就任した青井実アナを宮根さんと共に起用して対抗します。もっとも青井アナはNHK時代に『開票速報』に関わったことがほとんどありませんから、役に立つのかどうか。テレ東は変わらず池上彰キャスターが起用される方向です。となると、今回は民放の選挙特番では元NHKの4人が乱立し、鎬を削るという異常事態になります」
 やはり選挙はNHKが強いということか。
「TBS『選挙の日』は今回も太田を起用します。一方で、前回キャスターを務めていた小川彩佳アナは“落選”のようです」
 小川アナは自民党総裁選の際、メインキャスターを務める「news23」で旧統一教会の問題に触れ、「自身が総裁になった場合、教団との関係について何らかの再調査を行うという方がいらしたら挙手をお願いします」と切り出し、全候補者がダンマリを決め込むというシーンを作り出し、絶賛された。
「選挙特番も彼女に仕切らせるべきだと思いますが、それより太田のほうがいいとは……残念ですね」
デイリー新潮編集部