11日、ニューヨークの国連本部で記者の質問に答える中満事務次長(UNTVの映像から)
【ニューヨーク=金子靖志】国連の軍縮部門トップを務める中満泉事務次長は11日、今年のノーベル平和賞に日本の被爆者団体の全国組織「日本原水爆被害者団体協議会(被団協)」が選ばれたことについて、「非人道的な核兵器を廃絶し、未来の世代に目を向けるべきだという強いメッセージとなる」と述べ、歓迎した。ニューヨークの国連本部で記者会見した。
会見で中満氏は、ウクライナに侵略したロシアによる核兵器の威嚇や北朝鮮による核・ミサイル開発などを念頭に、「誤解や誤算によって核兵器の使用につながるリスクは容認できないほど高くなっている」と強い危機感を示した。「こうしたリスクをなくすためにも、核兵器そのものをなくすしかない」と訴えた。
また、今回の授賞決定が「核兵器禁止条約の推進に勢いをもたらす」と述べ、同条約の署名・批准をしていない日本政府に対し、締約国会議へのオブザーバー参加を検討するよう求めた。