事実上始まった衆院選では「政治とカネ」を巡る問題が争点となっている。
野党は「不十分だ」と批判している。野党との対決を前に、石破茂首相による党内の非主流派潰しの様相を呈しているとの指摘も出ている。
有権者の投票判断の材料にすべき課題はほかにもある。政治資金の透明性確保と事件の再発防止の具体策だ。
自民は公約に「将来的な廃止も念頭に」改革に取り組むと記した。首相は今回の衆院選では「使うことはある」と語った。立民が先の通常国会でパーティー禁止法案を提出しながら、同党幹部らが開催していたことを想起させるものだ。
一般国民からの個人献金が定着していない日本で企業・団体献金を禁止すれば、世襲ではない人や、業界団体、宗教団体などの背景を持たない人にとって選挙活動は極めて不利になる弊害も出てくる。企業・団体の幹部が分散して、個人として献金する抜け穴をふさぐことも難しい。かえって日本の議会制民主主義を後退させかねない。
一方、外国人・外国法人のパーティー券購入禁止の議論が低調なのは残念だ。国政が外国勢力からの影響を受けるのを防ぐために禁止は欠かせない。
不記載事件の動機は今も分かっていない。自民は明らかにする責任がある。