マイナ保険証の利用を巡っては、いまだに医療機関でカードリーダーのトラブルが相次いでいます。読者からも「機械故障時や停電時にはどうすればいいの?」という声が多く届きます。
トラブルによって病院などでマイナ保険証が使えない時、どう対応すればいいか解説します。(小寺香菜子、福岡範行)
◆カードリーダー使えなくても受診可
Q マイナ保険証をカードリーダーにかざす理由は何ですか。
A 現行の保険証は、券面に加入している保険組合の名称など保険情報が記載されているため、目視で保険資格を確認できます。しかし、マイナ保険証のカードの券面には保険情報の記載がありません。カードリーダーにかざすことで、カードに内蔵されているICチップを使って資格確認しています。
Q 機械の不具合や停電などによって、カードリーダーでマイナ保険証の読み取りができない時はどうすれば良いですか。
A 今は、代わりに現行の健康保険証を窓口で提示すれば保険診療を受けられます。
現行の保険証が使えなくなってからは、マイナ保険証と一緒に、「資格情報のお知らせ(資格情報通知書)」という書面を窓口に提示してください。
◆「資格情報のお知らせ」はマイナ保険証とセット
Q 資格情報のお知らせとは何ですか。
A マイナ保険証を持っている人が、自分が加入する保険組合などの資格情報を簡単に把握するためのものです。
A4判の書面で、保険証の番号などが記載されています。氏名や保険情報が書かれた部分を切り離し、持ち歩いて使用することができます。
加入する健康保険組合などから交付されます。中小企業の社員や家族が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)は、9月から発送を始めました。国民健康保険は、現行の保険証の有効期限が切れる前に送付する予定です。
Q 資格情報のお知らせだけ提示しても受診できますか。
A マイナ保険証とセットで提示しないと受診できません。マイナ保険証の券面から、まず本人であることを確認する必要があるからです。
ちなみに、現行保険証の廃止後、マイナ保険証を持っていない人に交付される「資格確認書」は、単体で利用できます。
Q マイナ保険証が読み取れない時に資格情報のお知らせを持参していなかったら、どうすれば良いですか。
A 医療機関に頼めば「被保険者資格申立書」という書面をもらえます。申立書に氏名や加入している健康組合などを記入し、窓口で提出すれば受診できます。
または、マイナ保険証を提示した上で、マイナンバーカード取得者向けのサイト「マイナポータル」にアクセスし、保険の資格情報が載った画面を見せることでも受診できます。
◆「●」表示のトラブルは?
Q 19日に発表した全国保険医団体連合会(保団連)の調査で、最も多かったマイナ保険証のトラブルは、資格確認の際に表示された名前や住所に「●」(黒丸)が交じるケースでした。どうしてですか。
A いわゆる「髙(はしごだか)」といった特殊な漢字は、資格確認のシステムでは識別できず、医療機関の端末の画面では「●」と表示されることがあります。
Q 「●」で表示されると受診できないのですか。
一方で、このままだと患者への請求書などに「●」が表示されるケースがあるため、医療機関によっては患者に漢字を確認して手入力しています。
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