兵庫・斎藤元彦知事が陥った親族との“絶縁トラブル”〈「週刊文春」が本人に聞くと…〉(2024年9月18日『文春オンライン』)

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記者会見で「自分自身に対して悔しい」と涙を浮かべた斎藤元彦兵庫県知事 ©時事通信社
 明日9月19日から始まる兵庫県議会初日に不信任案が提出され、全会一致で可決される見込みの斎藤元彦兵庫県知事(46)が、親族と絶縁状態であることが「 週刊文春 」の取材で分かった。
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どこを見ているのかわからない虚ろな視線の斎藤知事。出身校・東大の前での袴姿も
 自民党関係者が明かす。
「2021年の兵庫県知事選に挑む際、斎藤に『5000万円用意できるか』と聞いたら『ない』と言う。どうやら親族間で揉めていた時期らしく、実家からの金が用意できなかったらしい。仕方がないから自民党兵庫県連から2000万円貸し付けたんです」
祖父の屋敷をめぐり親族間でトラブル
 後援会関係者が続ける。
「斎藤知事の母方の祖父は日本ケミカルシューズ工業組合の理事長だった大澤伸剛氏。斎藤にとっては大恩ある祖父で、選挙戦中から『私が政治を志す原点になった』と公言していた。ですが、そんな祖父の屋敷をめぐって、選挙戦の前に親族の間で“あるトラブル”が持ち上がり、結果的に斎藤家が大澤家から絶縁されていたようなのです」
 斎藤氏に親族と絶縁したのかについて聞くと「そのような事実はありません」と回答したが――。
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 9月18日(水)12時配信の「 週刊文春 電子版 」および19日(木)発売の「週刊文春」では、斎藤知事の周辺で起こっていた親族トラブルの詳細と原因、ならびに斎藤氏の辞任を阻む妻の存在について詳報している。
週刊文春」編集部/
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見たい現実しか見ていない 兵庫知事はすでに詰んだ 書く書く鹿じか(2024年9月18日『産経新聞』)
 
「人間ならば誰にでも、現実のすべてが見えるわけではない。多くの人は、見たいと思う現実しか見ていない」。古代ローマの英雄、ユリウス・カエサルの言葉である。
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兵庫県の斎藤知事が受領を認めた贈答品
認知心理学における用語で「確証バイアス」という。すでに持っている先入観や仮説を肯定するため、自分にとって都合のいい情報ばかりを集める傾向で、そうした思い込みによって非合理的な判断をしてしまう。兵庫県の斎藤元彦知事は確証バイアスに陥っているのではないか。
県職員に対するパワハラや視察先などでのおねだりはもはや疑惑ではない。職員へのアンケートや百条委員会での証言で次々に明らかになり、将棋に例えるなら、すでに詰んでいる。
だが、斎藤知事は百条委の証人尋問で、勤務時間外のチャットでの叱責など一部を認めて「反省したい」と述べたものの、ほとんどは否定し、「当時の認識としては合理的な指導」「(知事の)権力をちらつかせたり、激怒した記憶はない」と答えた。「認識が異なる」や「記憶にない」は言い逃れではなく、そう思い込んでいるに違いない。
最大の問題は、告発文書を送付した元西播磨県民局長への対応である。「誹謗(ひぼう)中傷性が高いから、公益通報にはあたらない」として、専門家が公益通報者保護法に違反すると指摘しても、懲戒処分は「適切だった」と言い張る。元局長ともう一人の職員が亡くなっているのに、心の痛みはないのだろうか。
県議会の全会派、全議員が辞職要求を出した。議会から総スカンを食って、県政の運営をできるはずがないが、斎藤知事は「改革の歩みを止めるわけにはいかない。これからも県民のためにやっていきたい」と続投の意向を変えない。やはり自分が見たいと思う現実しか見ていないのだ。
古代ギリシャ都市国家アテネには「オストラキスモス(陶片追放)」という制度があった。僭主(せんしゅ)=独裁者の出現を防ぐため、市民が追放したいと思う人物の名前を陶片(オストラコン)に書いて投票し、一定数に達すると10年間、国を追われた。現代のリコール制度のようなものである。
兵庫県民も知事に辞めてほしいと思っているはずだ。しかし、有権者数が約450万人の兵庫県では、リコールの請求に約66万人の署名が必要で、かなりハードルが高い。もう一つの方法が不信任である。