9月7日に告示された立憲民主党代表選挙には、衆議院議員の野田佳彦(のだ・よしひこ)氏(67)、衆議院議員で元代表の枝野幸男(えだの・ゆきお)氏、衆議院議員で現代表の泉健太(いずみ・けんた)氏、衆議院議員の吉田晴美(よしだ・はるみ)氏の4名が立候補しました。新代表は9月23日の臨時党大会で選出されます。
野田氏は1957年千葉県船橋市生まれ、早稲田大学政経学部卒業。松下政経塾で学び、1987年から千葉県議会議員を2期連続で務めました。1993年の衆議院議員選挙で初当選、現在までに通算9回連続当選しています。財務大臣、第95代内閣総理大臣を務めたほか、衆議院懲罰委員長、民主党国会対策委員長、民主党国民運動委員長、民主党広報委員長、民主党幹事長代理、民進党幹事長、民進党最高顧問等を歴任。現在は立憲民主党最高顧問を務めています。
野田氏は以下の政策を掲げました。
《6つの変革》の実行
(1)金権腐敗政治を終わらせる政治資金規正法の再改正
(2)他党と連携した政治資金の更なる規律強化
(3)政治家のなり手を多様化する、3つの「被選挙権改革」
(4)議員定数の更なる削減
(5)「インターネット投票」の導入
変革2.「分厚い中間層の復活」、豊かな暮らしに向けた政策総動員
(1)「全世代型社会保障」の更なる充実による、将来不安の払拭
(2)教育の無償化と将来を見据えた教育環境の整備
(3)公正で安心感ある経済財政・金融政策の展開
(4)「強い経済」を作るための将来投資の加速
(5)中小企業を含めた持続的な賃上げ環境の整備
変革3.多様性を認め合う共生社会づくり
○他者に対して寛容で多様な意見や価値観を包摂する社会、あらゆる差別が解消され、誰一人取り残されない社会を目指す党の取組を着実に進める。
ほか
変革4.官民連携での地域コミュニティの再生、「インパクト国家」の実現
○人口減少が急激に進み、将来展望が描けない地方に関して、地方自治を強化しつつ、政府としても、都市部、とりわけ東京と地方の格差に起因する諸課題に国家的かつ国土全体の観点から対応。
○社会課題の解決に、民間企業自身の活力を活かすことも必須となる。「新しい公共」の考え方を更に深化させ、「政府=公、市場=私(株主)」の常識の転換を図り、企業や投資家が持続可能な社会に向けた公益目的の投資(「インパクト投資」)を促すための仕組みをはじめ、市場経済の発展と社会課題の解決を両立する、新たな社会システムを構築。
○地域医療を再構築するため、予防医療の提供を促す仕組みを構築する。かかりつけの「日本版家庭医制度」を導入し、介護など多職種連携を促進することにより、健康増進と生活習慣病予防を図るとともに、余分な投薬を削減し、「健康100年」の福祉国家を実現。
ほか
変革5.日米同盟を基軸とした外交・安全保障政策の展開
○国際秩序の根幹が揺らぐ中、プロフェッショナリズムに基づく、安定した外交・安全保障政策を展開。「法の支配」に基づく、「自由で開かれた国際秩序」の維持・強化を基調に国益を追求。力による現状変更に反対し、紛争の平和的解決の重要性を訴えていく。
○日米同盟を基軸とするこれまでの外交・安全保障政策(経済安全保障を含む)の基本を踏襲。「平和創造外交」の展開により地球規模の課題解決に貢献。人権外交を力強く展開。
ほか
変革6.「政」と「官」の健全な関係の確立
○民主主義を支える重要な資源である公文書の作成・管理の適正化を図るため、必要な法改正を行う。
○こうした取組を前提にした上で、政治家にとって、責任ある変革の実行パートナーであるべき官僚たちの専門的知見を最大限に活用する環境を整備する。
ほか
時代の先頭に⽴つ!古い政治に終⽌符を打ち、新しい時代へ 枝野氏
枝野氏は1964年栃木県宇都宮市生まれ、東北大学法学部卒業。弁護士活動を経て、1993年の衆議院議員選挙で初当選、以降10期連続当選しています。内閣官房長官、経済産業大臣、内閣府特命担当大臣(行政刷新/沖縄及び北方対策/原子力損害賠償支援機構)を歴任しました。2017年に立憲民主党を結党し代表に選出、2020年に国民民主党や社民党から合流し現在の立憲民主党が結党、再び代表に選出されましたが、2021年の第49回衆議院議員総選挙で立憲民主党が議席を減らしたために代表を辞任しました。
枝野氏は以下の政策を掲げました。
○「ヒューマンエコノミクス人間中⼼の経済」
「⼈間中⼼の経済」とは、すべての政策の中⼼に「⼈」を置く考え⽅です。この「失われた30年」のあいだ、⽇本は「代わりはいくらでもいる」とばかりに⼈を使い捨てるような経済のあり⽅が横⾏し、政治がそれを後押ししてきました。しかし、今後の⽇本は、⾼い付加価値を持つ商品やサービスを開発するため、今まで以上に強⼒に⼈に投資し、労働⽣産性を⾼めていかなければなりません。同時に、社会保障や公共サービスの充実など、国⺠の⽣活を⽀える公的な基盤の強化も必要です。
「すべての国⺠が個⼈として尊重され、健康で⽂化的な⽣活を営むことができる社会」。これを実現することが、これからの⽇本の成⻑の基盤です。あらゆる分野で、政府が⼀⼈ひとりを⼒強く⽀えることで、⽇本全体の成⻑に繋げていく。それがわたしの考える「⼈間中⼼の経済」です。
○新たな時代の国⺠政党へ
かつて「⾃⺠党王国」といわれた地域でも、裏⾦事件を受けて、「これではさすがに⽀えきれない」という声が聞こえてきます。⼈⼝減少が加速する中で負担増ばかりが続く。⼀⽅で⼀部の政治家は裏⾦づくりにいそしみ、納税もしないで開き直る。怒りや呆れるのはまっとうな感覚です。⽴憲⺠主党はこれから、こうした国⺠の声に応えるために、新たな時代の「国⺠政党」へと進化します。それは、⽴憲⺠主党⾃⾝が国⺠の皆さんから「信頼される選択肢」となり、その存在感をもっと⾼めていくということです。
新たな政治を求める⺠意を受け⽌めるために、政党間の連携も、既存のあり⽅を再構築します。⼩選挙区制度である以上、選挙区で最⼤限⼀騎打ちの構図を作る。その姿勢は⼀貫して変わりません。しかしこれまでの野党間の連携については、時代の変化の中で、役割・意味づけが⼤きく変わっており、これに囚われてはいけません。今まで⾃⺠党を⽀持していた⽅々も含めての、幅広い枠組みを構築していきます。
○信頼できる政権の選択肢へ
2021年に代表を退いて3年、一議員として全国の様々な地域を回りました。能登半島の被災地にも伺いました。たくさんの⼈たちが置き去りにされている。いざという時に政治がその役割を果たせていない。かつて官房⻑官として経験した、東⽇本⼤震災のことも思い返して、情けなく、申し訳ない気持ちになりました。ここで⽴ち⽌まり、⾜踏みをしている場合ではない。
⽇本の「失われた30年」の責任は間違いなく、わたしたち野党にもあります。まっとうな政権の選択肢となり、健全な政権交代が定着する環境を作れなかった。その反省と教訓は、わたしの胸に深く刻まれています。その経験が、新しい政治を求める国⺠の声を受け⽌めるための出発点です。
「人へ 未来へ まっとうな政治へ」前へ進もう(Go Forward) 泉氏
泉氏は1974年北海道札幌市生まれ、立命館大学法学部卒業。福祉施設職員、参議院議員・福山哲郎氏秘書を経て、2003年の衆議院総選挙で初当選、以降8回連続当選しています。内閣府・大臣政務官を務めたほか、衆議院議院運営委員会筆頭理事、民主党青年局長、民主党国民運動委員長、希望の党国会対策委員長、国民民主党政務調査会長、立憲民主党政務調査会長等を歴任。2021年の立憲民主党代表選挙で当選しました。
泉氏は以下の政策を掲げました。
1 総力結集
今回の代表選候補の皆様をはじめ、党の顔になる方々に、総選挙の最前線で活動していただきます。党全体による結束した戦いで総選挙を勝利します。
2 総支部への支援
3 「人へ未来へまっとうな政治へ」キャンペーン強化
政策やスローガンは、普段から本気で私たちが取り組む内容との一致が不可欠。次期総選挙のスローガンは「人へ未来へまっとうな政治へ」とする。「人へ(「教育無償化」「非正規の正規化」)」「未来へ(環境・医療・農業・観光・デジタル市場の拡大」「まっとうな政治へ(政治改革)」を全国各地で、全力で訴えます。
安定した政権運営を行うことを旨に、外交・防衛の「外交安全保障戦略の方向性」金融の「新しい金融政策に向けて」エネルギーの「立憲民主党のエネルギー政策」農業の「農林水産政策大綱」リスキリングの「もっとよい学びなおしビジョン」なども、ビラやネットを活用し浸透を図ります。
4 重要政策
税制は、失われた30年で続いてきた格差拡大、所得税・法人税減税と消費税増税に着目し、税制全体での格差是正、再分配機能を立て直します。富裕層の所得税、高額金融所得課税、法人税の見直し、また消費税について、給付付き税額控除、景気低迷時の時限的税率引き下げ、食料品の税率引き下げなどを選択肢として検討します。
5 候補者擁立
3年前、まずは150人の候補者擁立を目指し、次は候補者を増やし、「150議席獲得」を必達目標とし、今年2月の党大会では「200人の候補者擁立」「自公過半数割れ」「比較第一党へ」を目標に掲げました。現在総選挙の予定候補者は190人台に達しました。今後、候補者擁立目標を単独過半数の233人に上方修正します。来年の参院選に向け、選挙区比例区ともに候補者擁立を進めます。
6 党運営(ネット対策強化、登用のあり方、次期代表選の推薦人規定)
ネット対策部局を独立させ、必要な予算を確保します。党全体のSNS発信の活性化を図ります。党役職への登用は、選挙区での強さ、党員集めなど党への貢献度を尊重し、党内グループに関係なく登用します。次期代表選までに、代表選規定における推薦人要件を「党所属国会議員の1割。(200人超の場合は最低20人)」に変更します。
教育×経済=国民生活の底上げ!豊かな教育で未来を拓く 吉田氏
吉田氏は1972年山形県河北町生まれ、立教大学文学部卒業、英国立バーミンガム大学大学院にて経営学修士号(MBA)取得。投資・証券会社社員、法務大臣・小川敏夫氏の大臣秘書官を経て、2021年の衆議院議員選挙で初当選しました。
吉田氏は以下の政策を掲げました。
<豊かな教育で未来を拓く>
・子育て・教育・研究予算を倍増し、教育立国で日本再建
・国公立大学の無償化
・全国小・中・特別支援学校の給食の無償化
・18歳まで、博物館・美術館の無償化
・「教育ブーストファンド」を立ち上げ、民間企業の投資を促す
・保育士、幼稚園教諭、教員の奨学金の返済免除で、教職員を確保
・企業による奨学金の代理返還制度を積極推進
ほか
<生活者目線の経済再生>
・全国一律最低賃金1,500円
・時限的消費税減税(5%)、特に食料品は非課税に
・女性の給与水準が男性の7割という現状を是正し、賃金格差をなくす
・正規雇用を増やし収入アップと雇用の安定
・8時間労働、週休2日徹底で、ワーク・ライフ・バランスの確立
・介護休暇・育児休暇の更なる充実と取得推進
・リスキリング(学び直し)に5年で1兆円の予算を事業者でなく、個人にほか
<ケアと協働で命をまもる>
・公立病院の経営強化、在宅医療・介護体制の充実など、持続可能な地域医療体制を守る
・予防・健康づくりの推進
・女性の健康課題への対策強化
・共生社会の実現と認知症施策の推進
・ケアラー(介護や育児をする人、子ども)支援の充実
・介護職員の待遇を8万円UPで安心の介護体制を確立する
・孤独・孤立対策の推進
・助産師などによる伴走型で、安心・安全・幸福な出産と社会全体で子育てを支援
ほか
<ひきょうな政治を本気で変える>
・政治活動の全ての領収書を公開
・企業団体献金の廃止で、癒着や利益誘導型から、国民ひとり一人に届く政治へ
<再生エネルギーで気候危機を乗り越え、地域に仕事を>
・一日も早く原発ゼロを実現
・カーボンゼロを実現し、「化石賞」の不名誉を返上
・地熱の活用推進に向け、技術開発と人材育成に積極投資
<農業を振興し食糧を国内でまかなえる日本に>
・農家の戸別所得補償制度の復活と拡充。後継者が育つ農業へ
・新規就農支援強化で若者が働きたくなる農業へ
・営農支援の推進
・農業の脱炭素化(省エネ、農機の電動化、再生エネルギーの活用)の推進
・政府備蓄米の強化
・小麦や大豆、畜産飼料の国内生産を拡大。食料自給率を38%から80%へと引き上げる
<戦争しない世界に向けて牽引する日本へ>
・日米同盟を基軸とした現実的な外交・安全保障政策の継続
・対話外交の深化によって多国間の連携を強化し、地域の安全保障を構築
・岸田政権が進めた防衛増税について「費用対効果」の視点での検証
<誰もが活躍できる立憲民主党へ>
・国会議員、自治体議員、党員、協力党員、パートナーズが積極的に情報や議論を交わし政策に反映していける仕組みをつくる
・常設の立憲カフェを各都道府県にオープンする
・広報部門の強化
・党内のDX推進を徹底
・若者、女性の積極登用
・第三者委員会によるガバナンス強化