立民候補者、解雇規制緩和に異論 「リスキリング支援を」(2024年9月8日『日本経済新聞』)

立憲民主党代表選に立候補し、共同記者会見で写真に収まる(右から)野田佳彦氏、枝野幸男氏、泉健太氏、吉田晴美氏(7日午前、東京都千代田区
立憲民主党の代表選の候補者4氏は8日、自民党から総裁選に向けて出ている解雇規制の緩和論への異論を語った。「働く側にプラスはない」といった意見が相次いだ。人手不足の産業の賃金改善や産業創出、リスキリング(学び直し)の環境整備などを求めた。

野田佳彦元首相は8日のフジテレビ番組で「解雇規制と労働市場の流動化の相関性はない。リスキリングなどの環境整備をしていくのが自然だ」と述べた。学び直しの支援、待遇改善や新たな産業の創出による労働移動をめざすべきだと訴えた。

枝野幸男前代表は「クビにする自由だけ緩和しようという問題だ。働く側にプラスはない」と指摘した。

雇用の流動性に関して「辞める側は今でも自由で規制はない」と強調した。「次の仕事がないような状況のときこそクビにしたい」と経済状況が悪化したときに人員整理に利用される仕組みになると主張した。

泉健太代表は就職氷河期世代が解雇の対象になることに懸念を示した。「不安定で結婚や子育てができるか。国益を考えれば雇用の安定で得られるものは大きい」と発言した。

吉田晴美氏は職務内容を明確にして成果で処遇する「ジョブ型」に対応した人材育成ができていないと問題視した。解雇規制を緩和する制度だけ取りいれても「雇用への不安、中間層の不安をあおるだけだ」と語った。

自民党総裁選に出馬表明した議員からは雇用の流動性の向上など労働市場改革への言及が続いている。

河野太郎デジタル相は解雇規制緩和は「流動性を高めるために必要だ」と言明した。「一方的に解雇された時に金銭補償するルールがあれば、次の仕事に余裕を持てる」とも唱えた。

立憲民主党の代表選は7日に告示され、野田、枝野、泉、吉田の4氏が立候補を届け出た。23日に投開票される。