8月25日に行われた箕面市長選挙は38歳の無所属の新人・原田亮氏が当選しました。一方で、「大阪維新の会」公認の現職市長・上島一彦氏が敗北するという結果になりました。「維新」公認の現職首長が敗れるのは、維新が結党して以降初めてということで、大変大きな衝撃として伝えられました。勝った側・負けた側双方から見えてきた、来る解散総選挙への影響とは?読売テレビ記者・平田博一の解説です。 【動画で見る】維新・結党以来初、現職首長が敗北…箕面市長選、“無所属”が勝利した背景と、「解散総選挙」への影響
■地元・大阪で“敗北”続く維新 兵庫県・斎藤知事の“パワハラ疑惑”も影響か
今回の選挙戦は、「解散総選挙」にも影響を与えるのではないかという声が多く聞こえています。勝った側からも負けた側からも「解散総選挙」に向けたポイントが見えてきたと思います。
まずは、負けた維新から整理をしていきたいと思います。維新は、最近少し勢いに陰りが出てきたのではないかと言われていますが、まずは4月に行われた大阪の大東市長選挙です。こちらは、日本維新の会の藤田幹事長のお膝元なのですが、維新の候補者が敗北するという結果になりました。 さらに、今年6月の河内長野市長選です。こちらは、吉村共同代表の地元ですが候補者を立てられず、いわゆる“不戦敗”という状況になりました。
そして、中でも大きな衝撃を与えたのが8月25日の大阪府の箕面市長選挙です。「大阪維新の会」公認でさらに“現職の市長”の上島一彦氏が敗れるという結果になりました。一方で、当選したのは無所属・新人の原田亮氏でした。 この選挙戦を分析してみますと、聞かれた声としては、最近の「政治不信」から「既成政党への抵抗感」が強くなっているというものです。そんな中で、若く、「無所属」である原田氏に一定の票がいったのではないかと思われます。また、維新をめぐっては兵庫県・斎藤知事の“パワハラ疑惑”なども今回の選挙結果に影響を与えたのではないかと言われています。
さらに、同じ8月25日に箕面市議会議員の選挙も行われました。維新は当選者の数は増やしていますが、一方で維新の議員が獲得した票の割合は減る結果になりました。こういったとこういったところからも、最近の苦戦が見えると思います。
今回の結果を受けて維新の関係者に話を聞いたところ、「今回の結果は党内でもかなり大きな衝撃が走った。次の解散総選挙の立候補予定者の中で今回の結果を受けて、『維新では当選は厳しい』と維新を去ってしまう人も出てくるのではないか」といった危機感の声が聞こえました。
■勝者は無所属・原田氏「政党の後ろ盾はありません」と訴えるも背後には自民・公明の影…
続いて“勝った側”ですが、今回当選したのが無所属で38歳の原田亮氏です。選挙中よく聞かれたのが「私は政党の後ろ盾はありません」ということで、「政党のしがらみがない」というところを強く訴えていたと感じました。
しかし、取材を進めますと、その裏側では“ある党の思惑”も見えてきました。もともと、原田氏は自民党所属の大阪府議会議員で、府議会議員団の幹事長なども務めていた人なんですが、今回の選挙戦では選対本部長には自民党の地元の市議がついており、演説会場には公明党の議員の姿もありました。中でも印象的だったのが自民党の松川るい参議院議員で、告示日には演説場所に来て、原田氏の支援者と談笑する姿も見られました。今回、原田さんは無所属での選挙戦でしたが、その背後には、「自民」・「公明」の姿がありました。
そして、今回の選挙結果を受けて、「自民・公明」の関係者に取材をしたんですが、自民党の関係者から、「前回の衆議院議員選挙で全敗だった大阪で、今回の結果を受けて議席獲得のチャンスが出てくるかもしれない」と解散総選挙に向けてかなり追い風になるのではないかという声が聞こえました。
■「解散総選挙」では候補者の“戦略”ではなく政策の“中身”を見ることが大切
今回の選挙戦、原田氏は「自民党」の看板ではなくて「無所属」ということで当選をしたわけなんですが、では自民党の関係者が言うように、解散総選挙を「自民党」の看板で本当に思惑通りに議席を獲得できるかというと、かなり不透明な部分はあると感じました。
東京都知事選も取材したんですが、最近の選挙戦はある共通のキーワードがあると思います。それが、「政治不信」という言葉です。
この「政治不信」の受け皿に、「若い」だとか、「何か変えてくれそう」という雰囲気を持っている人、「がんばってくれそう」な人が支持を得る傾向にあると思います。