これまでの大石氏の説明では足りない。県議と共に、疑惑の経緯や責任の所在を明らかにすべきだ。
資金の移動は2022年1月から、知事選があった2月にかけて行われた。
判明後、大石氏は県議側に返金し、政治資金収支報告書に記載した286万円を寄付に訂正すると説明した。
「知らなかった」では済まない。脱法行為が疑われている以上、県民に対して資金移動のいきさつをつまびらかにする政治責任がある。
江氏は「県民に疑念を抱かせた」という理由で、県議会の議会運営委員長を辞任すると表明した。資金移動を指示したのは、大石氏の陣営にいた選挙コンサルタントだったと明かしている。
県議会の役職を辞めたところで何の解決にもならない。より詳しい説明を求める。
今月は定例県議会が開かれる。県議は知事選で大石氏を支援したかどうかにかかわらず、疑惑を徹底して追及すべきだ。及び腰になるようでは県民の信用を失う。そう自覚してもらいたい。
2年前の知事選で、大石氏は4期目を目指した現職をわずかの差で破った。県民は県政刷新を期待したはずだ。
任期半ばで政治資金を巡る疑惑の渦中にあることは、大石氏も不本意ではないか。信頼を取り戻すには、まだ不明瞭な点について正面から答えるほかない。