写真:LIMO [リーモ]
年金は、現役時代の年収などによって受給額が異なります。
そのため、高額な年金で経済的に豊かな老後を暮らせる人もいれば、年金額が少なく制約のある老後生活を強いられる人もいます。
◆【シミュレーション結果表】年金年額額面294万円の場合の税金・社会保険料と手取り額
では、一度に「40万円(月額20万円)」もの年金を受け取れる人は現役時代にどれくらい稼いだ人なのでしょうか。
本記事では、一度に40万円の年金をもらえる人の年金受給額をシミュレーションします。
※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
年金の支給は2か月に1度
まずは、年金の支給タイミングを確認しておきましょう。年金は2か月に1度支給されます。
8月、9月分の年金はまとめて10月に支払われるスケジュールです。
そのため、一度に年金を40万円受け取るには「月額20万円」の年金受給が必要となります。
手取りで月額20万円の年金を受け取るには額面いくらが必要か
年金は、給与と同様に社会保険料と税金が天引きされます。
そのため、手取りで月額20万円の年金をもらえる人の額面受給額はもっと多いです。
以下の条件で、手取りで月額20万円の年金を受け取る人の額面受給額をシミュレーションしてみましょう。
・東京都練馬区在住の独身70歳
・65歳から年金受給を開始
・収入は年金のみ
シミュレーションの結果、手取りで月額20万円の年金をもらうには額面24万5000円(年間294万円)が必要です。
●額面年金が年間294万円(月額24万5000円)の人の税金と社会保険料
・住民税:年間10万6000円(294万円ー110万円(公的年金所得控除)ー43万円(基礎控除)ー37万6710円(社会保険料控除))×10%(住民税率)ー2500円(調整控除額)+5000円(均等割額)
・国民健康保険料:年間27万3000円
・介護保険料:年間10万4000円
手取りで月額20万円の年金を受け取るために必要な現役時代の年収はいくらか
手取りで月額20万円の年金をもらうには額面で月額24万5000円が必要であることを確認しました。
では、額面で月額24万5000円の年金を受給できる人は、現役時代にどれくらい稼いだ人なのでしょうか。
以下の条件で、現役時代の平均年収別に額面年金受給額の目安をシミュレーションしてみましょう。
・1975年生まれ
・20歳~64歳まで会社員として勤務
・65歳から年金受給開始
シミュレーションの結果は以下のとおりです。
●平均年収ごとの目安年金受給額(額面)
平均年収 年金受給額の目安(額面)
・500万円 月16万9000円
・600万円 月18万9000円
・700万円 月20万9000円
・800万円 月23万1000円
・900万円 月25万円
・1000万円 月27万円
・1100万円 月29万2000円
・1200万円 月30万9000円
現役時代の平均年収が900万円あれば、月額25万円の年金を受け取れます。
ただし、国税庁が公表している「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、日本の平均年収は458万円。平均年収900万円はかなりハードルは高いです。
手取りで月額20万円の年金を受け取る人はどれくらいいるのか
では、実際に手取りで月額20万円(額面で月24万5000円)を受け取れる人はどれくらいいるのでしょうか。
●厚生年金受給者の年金受給額(額面)
年金受給額 割合
・月額1万円未満 0.38%
・月額1万円以上2万円未満 0.10%
・月額2万円以上3万円未満 0.34%
・月額3万円以上4万円未満 0.59%
・月額4万円以上5万円未満 0.64%
・月額5万円以上6万円未満 0.96%
・月額6万円以上7万円未満 2.57%
・月額7万円以上8万円未満 4.30%
・月額8万円以上9万円未満 5.80%
・月額9万円以上10万円未満 7.03%
・月額10万円以上11万円未満 7.05%
・月額11万円以上12万円未満 6.47%
・月額12万円以上13万円未満 5.91%
・月額13万円以上14万円未満 5.79%
・月額14万円以上15万円未満 5.96%
・月額15万円以上16万円未満 6.21%
・月額16万円以上17万円未満 6.51%
・月額17万円以上18万円未満 6.62%
・月額18万円以上19万円未満 6.32%
・月額19万円以上20万円未満 5.69%
・月額20万円以上21万円未満 4.75%
・月額21万円以上22万円未満 3.56%
・月額22万円以上23万円未満 2.40%
・月額23万円以上24万円未満 1.58%
・月額24万円以上25万円未満 1.04%
・月額25万円以上26万円未満 0.64%
・月額26万円以上27万円未満 0.37%
・月額27万円以上28万円未満 0.21%
・月額28万円以上29万円未満 0.10%
・月額29万円以上30万円未満 0.05%
・月額30万円以上 0.08%
平均年金月額:14万3973円
*厚生年金保険受給権者には、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢の引上げにより、定額部分のない報酬比例部分のみの65歳未満の受給権者が含まれている
会社員や公務員としての勤務経験がある厚生年金受給者のうち、額面で月25万円以上の年金を受け取る人の割合は、わずか1.45%です。
やはり、手取りで月額20万円の年金をもらえる人は、ほんの一握りであることがわかります。
老後の生活を今から考えよう
本記事で紹介したとおり、年金受給額は人によって大きく異なります。
特に、年金が少ない世帯は今から老後対策を始めましょう。
新NISAやiDeCoを利用して、できるだけ早く資産形成を始めることも検討してみてください。
参考資料
・日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」
・国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」
苛原 寛