写真:アフロ
たびたび起きる政治家による違法な寄付。どのような場合に違法とされるのでしょうか。
■ケース① 議員が選挙区内の知人の法事に花
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『葬儀や法事の時に、地元の県議や市議から花やお供え物が届きます。
国会議員の香典が問題になっていますが、地方ではこのようなことが日常的に行われています。これって問題ないのでしょうか』
高井康行弁護士
金銭をはじめ財産的価値がある物品は全て禁止されており、葬儀の香典や結婚式の祝儀、開店祝いの花輪も対象に含まれます。ただし、政治家が自ら出席し直接渡す香典と祝儀については、選挙と無関係で一般的な金額であれば、罰則の対象から除外されるとしています。
■政治にお金をかけるのはNG 贈収賄のきっかけに
なぜ、政治家による寄付は禁止されているでしょうか。
高井康行弁護士
「政治にお金がかかるのを防ぐのが主たる目的です。寄付をしてもいいということになると、そのためのお金が必要になります。そうなると贈収賄など不正な方法でお金を集める動機になりかねません」
さらに、こういう目的もあるといいます。
高井康行弁護士
「財産的価値ということからすると花は違法性が低いように感じるかもしれませんが、祝い花などには送り主の名前が書かれ多くの人の目に触れることになります。ですから、これを許すと地盤培養のために一層お金がかかることになりかねません」
このため公職選挙法では選挙での買収行為を禁止すると同時に、選挙に直接の関係がない金銭等のやり取りも禁止しているのだといいます。
■ケース② 市議が選挙区外の店に開店祝い
日テレNEWS NNN
『○○県△△市に本社を置く会社が都内で飲食店を経営しています。そのお店が開業する時に△△市の市議がお祝いの花を送っていました。これは違法な寄付にならないのでしょうか』
高井康行弁護士
「前提として誰が花をもらったかということですが、その店が独立しているのであれば別ですが、△△市に本社を置く法人としての会社が経営しているのであれば、花をもらったのは店ではなく経営する会社ということになります」
このケースは、市議は選挙区内の会社に花を送ったということになるため、故意が認められれば“寄付の禁止”違反になるといいます。
高井康行弁護士
「故意を認められるかどうかは市議の認識によります。市議が選挙区内の会社が経営していることを知りつつ、選挙区外の都内の店だから大丈夫だろうと思い花を送っていた場合は故意が認められます。
仮に、選挙区内の会社が経営していること自体知らなかった、独立した店だと思っていたなどといった場合には、故意が認められず罪に問われない可能性があります」
■議員から香典や花を受け取った側も罪に問われる?
一方で、罰せられるのは寄付をした政治家だけではありません。
単に受け取っただけでは罰せられることはありませんが、仮に私たちの方から寄付を求めたとしたら、罰せられる可能性があります。
公職選挙法では、政治家に対して寄付を勧誘したり要求することを禁止しています。
もし、脅すなどして寄付を勧誘したり要求したりした場合は、1年以下の懲役、もしくは禁錮または30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
"お金がかからない政治"を実現させるには、私たちも"求めない""受け取らない"という意識を持つことが求められます。
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