119番の人、林芳正氏が火消し役 「岸田派No.2」が総裁選出馬へ 炎上自民のストッパー“緊急登板”(2024年8月18日『スポニチアネックス』)

 林芳正官房長官が17日までに、9月の自民党総裁選で出馬に必要な推薦人20人確保のメドをつけた。岸田派ではナンバー2の座長。これまで「岸田文雄首相を支える」と強調してきたが、首相の不出馬表明を受けて決断。首相にも意向を説明している。総裁選出馬は、参院議員時代の2012年に続き2回目。
 党内で緊急通報の「119番」と言われてきた。15年に西川公也農相が政治資金問題で辞任したことを受け急きょ起用されたのに続き、21年に党幹事長になった茂木敏充外相、23年に裏金事件で更迭された松野博一官房長官の後任を任された。3度も緊急招集に応じた経歴について「誕生日が1月19日で“119番”と言われることがある」と話す。今回は裏金事件で党が炎上する中、自ら火消しに名乗りを上げた。
 岸田派では党の慣例を破り、首相が就任後も会長の座に居座り。林氏の存在感が高まることを警戒したためとみられていた。党内では将来の首相再登板の可能性がささやかれ不出馬判断は影響力を残すためとも言われており、林氏の出馬について「次の次も見据え、派内の総裁候補としての立場を確かなものにする狙いもあるのではないか」(党関係者)との見方も出ている。一方、上川陽子外相が出馬の意欲を首相に伝達。派内の支持が割れる可能性がある。
 12年は第1回投票で党員算定票はわずか3票。議員票を合わせて27票で、5人中最下位に沈んだ。その後、文部科学相、外相など閣僚経験を積み重ね、政策通として知られる存在に。「他派閥からの人望もある」(政府関係者)といい、今回は岸田派以外からの支援も期待できる状況だ。
 首相を8人輩出している山口県出身。政治家一家で、1995年に参院選山口県選挙区から出馬し初当選。将来の首相候補と期待されてきた。しかし、参院議員が首相の座をつかんだ例はないことから、衆院への鞍替えを画策。前回21年衆院選で実現した。
 多才で97年に党所属議員で「Gi!nz(ギインズ)」というバンドを結成。21年に英国で開催された主要7カ国(G7)外相会合でジョン・レノンの「イマジン」をピアノで演奏し、場をなごませたのは有名な話だ。
 現職不出馬で乱立模様の総裁選。バンドの顔であるボーカルも担当していた林氏が、国会議員や党員を引き付ける改革イメージを発信し「選挙の顔」となるか注目される。