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支持率の長期低落にあえぐ岸田文雄首相がついに白旗をあげた。
そんな岸田氏の行く末を見透かすような“予言”を口にしていたのが安倍晋三元首相だ。
産経新聞論説委員の阿比留瑠比記者が上梓した話題の書『安倍晋三“最後の肉声” 最側近記者との対話メモ』(産経新聞出版)は、壮絶な権力闘争の世界を生きてきた政治家ならではの鋭い見方が綴られている。岸田首相の失敗の本質、躓きの兆候は何だったのか――。同書から一部抜粋・再構成してお届けする。
「岸田氏がこういうやり方をしていたら運が離れるね」
「岸田氏はこれまで運が良かったが、運はちょっとしたことで離れる。こういうやり方をしていたらね」
安倍元首相が私に向かってこう予言するように語ったのは、2022年6月16日夜のことだった。安倍氏が暗殺される3週間ほど前のことだ。
「え、まだ1年ぐらいやるんじゃないの。それは問題だね。(岸田政権の運営に注文をつける)私への意趣返しなのか。首相に聞いてみる」
「非常に不愉快だ」
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しばらくして安倍氏から私に電話がかかってきた。
松野氏は、次官は全部2年で交代させるというが、それではバカな次官もいい次官もそうするのか。島田氏みたいな功労者がそれではおかしい」
次官任期に「2年」というルールはない。根回しなしに安倍氏に近い次官を交代させるやり方が異様に映ったのは事実だった。
運が去ったのだろう。
「安倍一強」時代を築いた安倍氏より、実は「聞く力」を強調した岸田首相の方がよほど強権的だったというのも皮肉である。
阿比留 瑠比