岸田総理大臣は、来月の自民党総裁選挙に立候補しない意向を表明しました。新総裁選出後、総理大臣を退任することになります。
なぜこの時期に?次の総裁をめぐる動きは?
岸田総理大臣の担当記者として就任から3年を取材している政治部・清水大志記者の解説です。
【リンク】岸田首相会見 自民総裁選に不出馬を表明 首相退任へ
判断した時期や理由は?
Q.岸田総理大臣の表明、まさに突然という印象でしたが、判断した時期や理由については取材で新たに分かったことはありますか?。
A.政権幹部によると、国会が閉会した6月ごろから身を引くことも具体的な選択肢に入れて時期を探ってきたようなんです。そして13日夜からけさにかけて、側近である自民党の木原幹事長代理らと会談し、決断したとみられます。
担当記者として就任から3年をどう見る?
Q.清水さんは岸田総理大臣の担当記者として就任から3年を取材してきましたがこの3年をどう見ますか?
A.賛否両面あると思いますが、政策面で言いますと、特に経済再生は、最重要課題に位置づけて取り組んできただけに、30年ぶりとなる高い水準の賃上げや企業業績の好転など、一定の成果は見てとれます。
また外交面でもウクライナなどで緊迫した情勢が続く中、G7をはじめ同志国の連携強化を図り、専門家から安定感のある手腕を評価する声も出ていました。
一方で、防衛力の抜本強化や少子化対策など、政策を打ち出したものの、財源の問題などもあって道半ばとなっているものも少なくありません。
何より政治とカネをめぐる問題で国民の不信を払拭できなかったこともあり、課題を残した政権運営だったと言えると思います。
自民総裁選 候補者として名前があがる人の動きは?
Q.さまざまな名前があがっている総裁選ですが、どう見ていますか。
A.今後、立候補に向けた動きが活発化することになります。これまでは岸田政権を支える立場から表立った動きを自重する心理もあったと思いますが、きょうの岸田総理の表明で「現職の総理・総裁に挑む」という構図ではなくなり、いわばフリーハンドの状況になったわけです。
早速、石破さんが意向を明らかにしたように、具体的な動きが表面化する展開が予想されます。
一方で、情勢は、まだ混沌としています。
党内には「いま名前の挙がる候補は、いずれも決定打に欠ける」との声があり、立候補に必要な20人の推薦人を誰が集められるのかも不透明です。
また今回は、政治とカネをめぐる問題を受けた派閥解消により「派閥なき総裁選」となります。
あるベテラン議員は「まさに議員1人1人が決めることになる。まだまだ先は見通せない」と話しています。