パリオリンピックの閉会式が日本時間の12日に行われ、次の開催都市・ロサンゼルスにオリンピックの旗が引き継がれて17日間の大会が幕を下ろしました。
記事後半では、閉会式の経過を詳しくお伝えしています。
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閉会式 旗手は北口榛花とShigekix 聖火が消えて閉幕
閉会式は日本時間の12日の午前4時すぎから陸上競技などが行われた「スタッド・ド・フランス」で始まり、各国や地域の旗手が入場したあと選手たちが一斉に会場に入りました。
そして、パリから次の2028年の開催都市のロサンゼルスにオリンピックの旗を引き継ぐセレモニーが行われ、ハリウッド俳優のトム・クルーズさんがスタジアムの屋根の上からステージ上に飛び降りて登場すると大きな歓声が上がりました。クルーズさんは、このあとオートバイに乗ってパリの街を駆け抜けるなど、映画さながらのアクション映像が披露される場面もありました。
そして、今大会、金メダル4つを獲得した地元・フランスの競泳のレオン・マルシャン選手が小さなランタンに入った聖火を会場に運び入れ、IOC=国際オリンピック委員会のバッハ会長の閉会宣言とともに最後は聖火が吹き消されました。
3時間余り行われた閉会式は現地時間の12日午前0時すぎに終了し、17日間に渡ったスポーツの祭典が閉幕しました。8月28日にはパリパラリンピックが開幕します。
◇次回 2028年の開催地はロサンゼルス
次回2028年の開催地、アメリカ・カリフォルニア州のロサンゼルスは、2020年のアメリカ国勢調査によると人口およそ390万人で、ニューヨークに次いでアメリカ第2位、西海岸では最大の都市です。
映画の都、ハリウッドで知られるほか、さまざまな産業が栄えていて、スポーツの面でも大谷翔平選手や山本由伸投手が所属する大リーグ・ドジャース、八村塁選手がプレーするNBA=アメリカプロバスケットボール・レイカーズ、吉田麻也選手や山根視来選手が所属する北米のサッカープロリーグ・メジャーリーグサッカーのギャラクシーなどが本拠地を置く日本人にもなじみの深い街です。
オリンピックが開かれるのは1932年の第10回大会、1984年の第23回大会に続いて3回目です。1984年の大会はテレビの放映料やスポンサーからの協賛金、それに入場料収入によって大幅な黒字を達成し、その後のオリンピックの運営やあり方に大きな影響を与えた大会でもあります。
2028年大会では野球とソフトボールが2021年の東京大会以来、クリケットとラクロスは1900年代初頭に実施されてから100年以上ぶりに競技に復帰するほか、フラッグフットボールとスカッシュが初めて実施されます。
大会組織委員会は、オリンピックの歴史上初めて新たな常設会場を建設せず、既存の施設と仮設会場のみを使って競技を行い、廃棄物を減らして建設のコストも削減することで持続可能な大会のモデルを示したいとしています。
一方、深刻な都市部の交通渋滞が大会運営においても課題としてあげられていて、組織委員会は「交通第一のオリンピック」を掲げて地下鉄の延伸など交通インフラの整備に力を入れていく方針です。
==【詳しく】閉会式の経過==
21:00(現地時間)
開会式始まる
パリオリンピックの閉会式が日本時間の12日、午前4時すぎから陸上などが行われたフランス最大級のスタジアム「スタッド・ド・フランス」で始まりました。
式典では、近代オリンピックの父と呼ばれるクーベルタン男爵の足跡をたどる旅をイメージしたショーや、4年後の開催都市、アメリカのロサンゼルスへオリンピックの旗を引き継ぐセレモニーなどが行われたあと、聖火が消されます。
まずは、パリ中心部にもうけられた聖火台で、楽団による演奏が始まりました。
21:08(現地時間)
聖火が運び出される 運び手は競泳のレオン・マルシャン
ルーブル美術館に隣接する「チュイルリー公園」に設けられた聖火台から聖火が運び出されました。聖火は小さなランタンに入れられ、個人では今大会最多の金メダル4つを獲得した地元・フランスの競泳のレオン・マルシャン選手が運び出しました。聖火は開会式の時とは逆の道をたどり、閉会式の会場、「スタッド・ド・フランス」に向かいます。
21:15(現地時間)
フランスの国歌斉唱
フランスのマクロン大統領とIOC=国際オリンピック委員会のバッハ会長が入場しました。そして、フランス軍の兵士などがフランス国旗を運び入れ、国歌斉唱が行われました。オーケストラの演奏にあわせて会場の観客が声をそろえて歌いました。
21:16(現地時間)
旗手の入場始まる
21:18(現地時間)
- 注目
日本の旗が入場 旗手は北口榛花とShigekix
日本の旗が入場しました。旗手は、陸上女子やり投げで、女子のフィールド種目として初めての金メダルを獲得した北口榛花選手と、新競技のブレイキン男子で4位となったダンサーネーム、Shigekixの半井重幸選手が務めました。
21:25(現地時間)
フランス選手団が姿見せる
21:32(現地時間)
- 注目
日本選手団が入場
日本の選手団が入場しました。日本が今大会で獲得したメダルは金20個、銀12個、銅13個の合わせて45個となり、金メダルの数、メダル総数ともに海外で行われたオリンピックでは史上最多となりました。
21:32(現地時間)
最多金メダルの中国選手団が入場
21:45(現地時間)
次回開催国のアメリカが入場
4年後のロサンゼルスオリンピックが開かれるアメリカの選手たちが入場しました。今大会は、金メダル40個を含む126個のメダルを獲得し、すべての国と地域の中で、最多となりました。
旗手を務める競泳女子のケイティ・レデッキー選手は、今大会で2個の金メダルを獲得して、オリンピック通算の金メダルの獲得数を9個とし、すべての競技を通じて女子選手の最多記録に並びました。
また、体操女子のシモーネ・バイルズ選手は、団体、個人総合、種目別の跳馬で3個の金メダルを獲得しました。バイルズ選手は、前回の東京オリンピックでメンタルの問題を訴えて、アスリートの心の健康に一石を投じましたが、今大会では完全復活を遂げ、改めてメンタルヘルスの重要性を強調しました。
21:50(現地時間)
- 注目
“アスリート・カラオケ”流れる 歌う選手の姿も
選手の入場が続く中、会場では「アスリート・カラオケ」と名付けられた時間が始まりました。「オー・シャンゼリゼ」などフランスにゆかりのある曲や、クイーンの代表曲の1つ「We Are TheChampions」などがかけられ、選手たちが笑顔で歌う姿が見られました。
21:59(現地時間)
女子マラソンの表彰式
22:07(現地時間)
ボランティアに感謝の花束
大会を支えた4万5000人のボランティアに感謝し、敬意を表して花束が渡されました。今大会はジェンダー平等の理念が掲げられ、ボランティアも男女の数はほぼ同じで、150の国から参加した幅広い世代の人たちが大会を支えました。
22:11(現地時間)
“近代オリンピックの父”をたどる旅のショー開始
会場の明かりが落とされ「近代オリンピックの父」と呼ばれるクーベルタン男爵の足跡をたどる旅をイメージしたショーが始まりました。
22:15(現地時間)
- 注目
【ショー】主人公は“ゴールデン・ボイジャー”
22:21(現地時間)
【ショー】ギリシャ国旗を掲揚
22:25(現地時間)
【ショー】勝利の女神「サモトラケのニケ」と出会う
22:30(現地時間)
【ショー】五輪リング完成 ゴールデン・ボイジャーの旅が終わる
22:45(現地時間)
大会の映像振り返り後 ライブ演奏で会場盛り上がる
ショーのあとは、17日間にわたって行われた今大会を振り返る映像が流されました。大会の名場面やアクシデントなど、さまざまな映像が数秒おきに切り替わる構成で、日本選手に関しては、体操男子団体の金メダルの場面や柔道の角田夏実選手が表彰台で涙を見せた場面などが流れました。
このあと、世界的に有名なバンドやアーティストなどによるパフォーマンスが始まり、会場は大きな盛り上がりを見せました。
23:03(現地時間)
聖火リレーと聖火台の点火映像が流れる
アーティストなどによるパフォーマンスのあとには、ギリシャで採火された聖火が各地でリレーされ、開会式で気球のような形をした聖火台に点火されるまでを振り返る映像が流されました。
23:13(現地時間)
大会組織委員会 エスタンゲ会長「大きなうねりが起きた」
23:22(現地時間)
- 注目
バッハ会長 7分余のスピーチ「最後までセンセーショナル」
続いて、IOCのバッハ会長がスピーチを行いました。バッハ会長は「皆さんのパフォーマンスは本当にすばらしかった。世界中の人々を興奮させ、何十億もの人々を鼓舞した。また、何百万人もの観客が圧倒的な雰囲気を醸し出した」と大会の盛り上がりを振り返りました。
そして「今大会は男女平等が完全に実現した最初のオリンピックで、最初から最後までセンセーショナルだった。みなさんはオリンピックに恋をし、私たちは皆さんに恋をしました」と話し、7分あまりのスピーチを終えました。
23:35(現地時間)
4年後のロサンゼルス大会開催国 アメリカの国歌斉唱
23:39(現地時間)
- 注目
会場にトム・クルーズさん登場
23:43(現地時間)
オリンピアンがオリンピック旗をつなぐ
23:54(現地時間)
米の人気ラップ歌手 スヌープ・ドッグさんが登場
23:57(現地時間)
聖火がスタジアムに到着
「チュイルリー公園」に設けられた聖火台から運び出された聖火は、地元フランスの競泳のレオン・マルシャン選手によって閉会式の会場「スタッド・ド・フランス」に届けられました。
23:58(現地時間)
- 注目
パリオリンピックが閉会 聖火吹き消される
24:07(現地時間)
「マイ・ウェイ」で閉会式終了
【NHKニュース】パリオリンピック2024
《開会式 直前の日本選手は》
レスリングでメダルを獲得した選手たちが閉会式の会場に入る直前に取材に応じ、このうち男子グレコローマンスタイル60キロ級で金メダルを獲得した文田健一郎選手は「オリンピックを楽しみ尽くそうと思います」と話していました。
このほか、いずれも金メダルを獲得した女子76キロ級の鏡優翔選手や女子53キロ級の藤波朱理選手、男子グレコローマンスタイル77キロ級の日下尚選手が次々と「最高です」と口にしてポーズを取るなどして喜びを表していました。
卓球女子シングルスで銅メダル、団体で銀メダルを獲得した早田ひな選手と、団体で銀メダルを獲得した平野美宇選手が閉会式の前に取材に応じました。
早田選手は「開会式に出られなかったので、閉会式は思い出になるかなと思い2人で来ようと決めました。大会は3週間くらいある感覚だったんですけど、思ったより早かったなと思います。いろいろな方と話すなかで、それぞれ通ずることもあるしそのほかの競技の魅力もあると思います。一緒に楽しめるのがオリンピックだと思うし、そういう意味では特別な大会だなと思います」と話していました。
平野選手は「まだ始まっていないですが、雰囲気だけでも楽しいので来てよかったなと感じています」と話していました。
新競技のブレイキンの女子で金メダルを獲得したダンサーネームAMIの湯浅亜実選手は閉会式の前に取材に応じ「オリンピックは、いろいろなスポーツが集まって最高だなと思います。もう終わっちゃうんだ、長いようだったけどあっという間だったなという感じです」と笑顔で話していました。
各国・地域のメダル獲得数は
閉会式はセーヌ川ではなくスタジアムで
今大会は「広く開かれた大会」をスローガンに、コンコルド広場などのパリを代表する名所で競技が行われ、あわせて32競技の329種目におよそ1万500人の選手が出場しました。
新型コロナウイルスの影響により、ほとんどの会場で無観客だった東京大会とは異なり、今大会は連日、大勢の観客が会場を埋め尽くして、選手たちを後押ししました。
開会式は、パリ中心部を流れるセーヌ川が会場となり、選手たちが船に乗ってパレードする演出が話題となりましたが、閉会式は、陸上などが行われたフランス最大級のスタジアムの「スタッド・ド・フランス」で行われます。