斎藤県政の「今」各市長はどう見る 混乱受け市長会が異例の総会 「多くの県民が憂慮している」/兵庫 (2024年8月11日『丹波新聞』)

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現在の県政について意見交換した県市長会であいさつする酒井市長=兵庫県神戸市で
 兵庫県の斎藤元彦知事らのパワハラ疑惑などを告発した文書問題で県政が混乱していることを受け、県内29市の市長でつくる県市長会(会長=酒井隆明・丹波篠山市長)がこのほど、神戸市内で異例の臨時総会を開き、意見交換を行った。春の総会でまとめた要望を知事に伝える機会が23日に予定されており、臨時総会で出された意見も伝える予定。酒井会長は、「多くの県民が今の県政を憂慮していることや、信頼されるよう体制を整えるべきということなどは伝えたい」とした。
 臨時総会には29市のうち22市の市長が出席。冒頭、会議を報道陣に公開することに否定的な意見が出されたが、酒井市長は、「百条委員会ですら公開。非公開にすれば後ろめたいのではと県民に誤解を与えてしまう」と公開を決めた。また、「パワハラがあったかどうかなど百条委員会で審査されることは議論すべきでない」という点で一致。23日の要望にどのような意見を盛り込むかで意見を交わした。
◇「今の県政危機」「連携言えない」
 川西市の越田謙治郎市長は、副知事の辞任や部長級の休職などを挙げ、「今の県政は危機的。どのような状態でも市政に影響がなく、県民の命を守れる体制でなければ、災害対応などを含めて県民にとって大きなリスク。一日も早くしっかりとした体制を取るべきだと要望すべき」とした。
 尼崎市の松本眞市長も、「枢要なポストの人がおらず、(通常業務ではなく)リーダーが調整してまとめていく施策には相当の支障が出ているのでは。このまま予算編成になると、大きな課題は進まない。議会との関係も難しく、議案が通るかも分からない」とし、「元県民局長が亡くなられたのは非常に大きいこと。しっかりと現状に対応しない限り、胸を張って『知事と連携する』と言うのは難しい」と懸念した。
◇「県と議会の責任」「命を大切にして」
 対して神戸市の久元喜造市長は、「異常に見える事象が積み重なり、県政が混乱しているのは間違いない」と同意した上で、「どう対応していくかは県の問題であり、知事と議会の責任。内部の体制にまで言及すべきではない。この混乱で市の行政運営に支障が生じないようにしてもらいたいと要望するのが適当ではないか」と指摘した。
 姫路市の清元秀泰市長は、告発後に自死した元県民局長について、「彼は私のクラスメートだった。友人として相談してくれたらよかったのにと思う」と心境を吐露しつつ、「県の組織論まで言及するのは難しいというのは同感。ただ、命を大切にする県政であってほしいという要望は出しても良いのではないか」とした。
◇「各市長と話して」「影響受けてない」
 この3年間の斎藤県政について、西宮市の石井登志郎市長は、「調整がない事業も多く、コミュニケーションの取り方は問題があった。こんな時だからこそもっとひざを突き合わせ、県政を前に進めたいのであれば、しっかりと各市長と話すよう要望すべき」とした一方、加古川市岡田康裕市長は、「(さまざまな事業で)知事とメールでやり取りをし、コミュニケーション不足を感じずにここまで来た。誤解なら誤解、反省点があれば頭を下げるなど、もっともっと発信してほしい」、加東市の岩根正市長も「予算が通れば知事の指示がなくても県職員がしっかり支えており、加東市は影響を受けていない。県全体がおかしいというわけではない」とした。
◇「間違っている」「ちゃんとして」
 告発後の県の対応に、丹波市の林時彦市長は「県の公益通報制度のあり方は間違っているということも言っていいのでは」とし、小野市の蓬來(※正しくは草かんむりに來)務市長も「県は公益通報者保護法よりも広い範囲で対応する制度になっていた。これが分かっていれば、今回のような初期対応になっていない。職員が『(この対応は)問題です』と指摘すれば良かっただけの話で、素人でも間違っていることが分かる。組織としてのガバナンスが全く効いておらず、『ちゃんとしてください』と言いたい」と指摘した。
 酒井市長も、「法的な問題はともかくとして、亡くなられた方は職員からの信望も厚い人だったと聞く。知事が任命されたのだから、なぜもっとちゃんと話をされなかったのか。それをせずに間違いや嘘だと決めつけられたこと自体が、一番の原因ではないか」とした。
◇「信頼なければ」「事業停滞懸念」
 総会終了後、報道陣に対応した酒井市長は、「およそ半世紀ぶりに百条委員会が設置された。長く安定した県政を続けてきた中で非常に衝撃的。私としては、これまで県と市でどうしても無意識に上下関係が働いていると感じてきたが、これを機に対等な関係での体制づくりができれば」とした。
 また、丹波新聞社の取材に対し、「『県政を立て直す』と、いくら努力されても政治家として信頼されることがなければ、県民も職員も県議も信頼してくれない。知事がどう判断されるか」とし、「普通の事業であれば県職員が頑張れば停滞しないが、過疎の脱却へ、農村や農業をどう盛り上げていくかなどは強いリーダーシップが必要。このままではそういった事業が停滞することが考えられる」と懸念していた。

泉房穂氏 斎藤元彦兵庫県知事を巡る疑惑告発文書問題に「『百条委員会』を毎日開催することも可能で…」(2024年8月11日『ポニチアネックス』)
 
 兵庫県明石市の前市長・泉房穂氏(60)が11日までに自身のSNSを更新。斎藤元彦兵庫県知事(46)を巡る疑惑告発文書問題について言及した。
 兵庫県議会の調査特別委員会(百条委員会)は、告発文書を公益通報として扱わなかった県の対応に問題がなかったかどうか検証する方向で検討中。9日の百条委理事会で議題に上がり、23日の次回百条委で改めて協議することになった。
 斎藤氏のパワハラ疑惑などを挙げた文書を作成した県幹部の男性は3月中旬、関係者や報道機関に配った。その後、公益通報窓口にも通報したが、県は通報者への不利益な取り扱いを禁じる公益通報者保護法の対象にはならないと判断。内部調査を進めて文書が誹謗中傷に当たると認定し、男性を停職3カ月とした。
 この対応に関し斎藤氏は7日の記者会見で「文書には信ずるに足りる真実相当性がなく、公益通報には該当しないと判断した」と説明し、正当性を主張。百条委委員長の奥谷謙一県議は9日の理事会後に「県民の関心も高く百条委で調査することが再発防止にもつながる」と記者団に語った。23日の百条委は非公開で行われ、パワハラ疑惑に関する職員らへの証人尋問も予定している。
 泉氏は「『百条委員会』のスピードアップを図るべきだ。『百条委員会』を毎日開催することも可能で、事務局任せではなく、理事会でそう決めればできることだ。県政の混乱と停滞を打開できるのは、県議会だ。県民生活にも悪影響が及んでいる。今は迅速に対応すべきときだと思う」とつづった。