櫻井つぐみ 写真:AFP/アフロ
<2024年8月9日(金)パリ2024オリンピック競技大会 女子フリースタイル57キロ級決勝 @シャン・ド・マルス・アリーナ>
パリオリンピックレスリング競技 女子フリースタイル57キロ級の決勝が9日にシャンドマルス・アリーナで行われ、世界女王の櫻井つぐみ(世界ランク1位=育英大)が同2位のアナスタシア・ニキータ(モルドバ)を6-0で破って優勝。初の五輪で金メダルを獲得した。
櫻井つぐみ PHOTO:Getty Images
「絶対勝つ!という気持ちですべてを出し切って、絶対に優勝できるよう頑張ります」と力強く語った通り、決勝でも世界2位を相手に快勝。
試合は第1ピリオド、櫻井が片足タックルを決めて2点先制。さらにバックを取って4-0にリードを広げる。
後半の第2ピリオドでも2点追加して6-0で完勝。自身初となるオリンピックの舞台で圧巻の強さを見せて頂点に立った。
櫻井つぐみ(さくらい つぐみ)
生年月日:2001年9月3日
出身地:高知県
オリンピック出場回数:初出場
所属:育英大学
プロフィール:
中学時代に全国中学生選手権で3連覇を達成するなど活躍。育英大に進学後は、21年から5キロ級と57キロ級で合わせて世界選手権3大会連続優勝を果たす。
櫻井選手は前半、タックルから2ポイントを先制し、その後も素早い動きから相手の背後をとって4対0とリードを広げて折り返しました。
櫻井選手は後半も持ち味のスタミナを生かして攻め続け、残り1分を切ったところで2ポイントを追加して6対0で勝ち、金メダルを獲得しました。この階級での日本選手の金メダル獲得は、58キロ級だったリオデジャネイロ大会の伊調馨選手、現在の57キロ級になった前回、東京大会の金城梨紗子選手、旧姓・川井梨紗子選手に続いて3大会連続です。
2人の指導者と抱き合い喜び爆発
2人の指導者について、櫻井選手は「このオリンピックのためにたくさんの時間を犠牲にして、自分のために厳しいことも言ってくれた。『よくやった』と言ってくれました」と話しました。
その上で「ここで優勝するために練習し、いろいろな人に支えてもらってここまで来ることができたので、優勝できて本当によかった」と胸をなで下ろしていました。
強さ支えた 2人の“お父さん”
初めてのオリンピックながら堂々たる戦いを見せた櫻井選手。強さを支えたのは2人の指導者です。
高知県で父の優史さんが立ち上げたクラブで競技を始め、優史さんの厳しい指導を受けながら基礎から徹底的に身につけていきました。
「オリンピックで金メダルを取る」ことを目標に着実に実力を伸ばして小学生になると全国大会で優勝するようになりました。
さらに優史さんが監督を務める高校にも進んで、3年生のときには全日本選手権で準優勝を収めるほどまで成長を遂げました。
しかし「ずっと一緒にいるので反抗しました」と徐々に素直に父の指導を受け止めることができなくなっていったといいます。
「練習では分かるまで技術を説明してくれる。もう1人のお父さんみたいな存在」と柳川監督の指導のもと、世界選手権で3連覇を果たすなどさらに飛躍を遂げ、初めてのオリンピックの切符を手にしました。
そうするうちに優史さんから受けた指導のありがたみにも気づいたということで「私の今があるのは父や先生のおかげです。最高の結果で恩返ししたい」と話して今大会に臨みました。
そして父の優史さんと柳川監督が観客席で並んで声援を送る中、決勝の舞台に立った櫻井選手。2人の前で夢の金メダルを手にしました。