8日午後4時43分ごろ宮崎県で震度6弱を観測した地震を受けて、気象庁は南海トラフ地震臨時情報「巨大地震注意」を発表した。南海トラフ巨大地震は静岡県沖の駿河湾─宮崎県日向灘沖のプレート境界を震源域として発生する大規模地震。100~150年間隔で発生する傾向にある。直近は1946(昭和21)年に発生した昭和南海地震で、78年が経過した現在、発生の可能性が高まっているとされる。
南海トラフは東海地方から四国地方、九州東部の太平洋側に延びる水深4千メートル級の比較的浅い海溝。日本列島が乗る陸側プレートの下にフィリピン海プレートが沈み込み、震源域別にマグニチュード(M)8クラスの東海、東南海、南海地震が発生する。
1707年の宝永地震(M8・6)は3つの地震が連動して巨大化し、国内最大級の地震に位置づけられる。発生49日後に富士山が爆発的な噴火を起こし、江戸に火山灰を降らせた。
続発したケースもある。1854年に安政東海地震が起きた際は、その32時間後に安政南海地震が発生し数千人の死者を出した。当時発生した津波は米国西海岸に達した。1946年の昭和南海地震は44年の昭和東南海地震の2年後に起きた。被災地の多くは既に先の大戦中に空襲の被害を受けていたが、被害は25府県にわたり死者・行方不明者計約2500人だった。
政府の地震調査委員会はマグニチュード8~9クラスの地震が今後30年以内に起こる確率は70~80%(今年1月現在)と算出した。2012(平成24)年には最大32万3千人が死亡するとの想定が公表されている。土木学会は発生後20年間の被害総額は最大1410兆円に達する可能性があるとの推計を発表している。