株乱高下「投資やってないし関係ない」わけじゃない…プロの見方は 6日は回復したけど 年金にも影響が?(2024年8月6日『東京新聞』)

 
 6日の東京株式市場で日経平均株価(225種)が急反発、過去最大の上げ幅3217円04銭となり、3万4675円46銭で取引を終えた。前日に過去最大4451円と歴史的な下落幅を記録したが、買い戻しが広がった。株価の乱高下にやきもきした個人投資家も少なくなさそうな局面だが、株への投資を直接行っていない人にとっても影響はあるのか。専門家に聞いた。(市川千晴)
終値の上げ幅が過去最大となった日経平均株価を示すモニター=6日、東京・丸の内で(平野皓士朗撮影)

終値の上げ幅が過去最大となった日経平均株価を示すモニター=6日、東京・丸の内で(平野皓士朗撮影)

金利は、為替は、日銀は…

 住宅ローンへの影響を指摘するのは、ふくおかフィナンシャルグループの佐々木融氏。日銀は先月31日の政策決定会合で政策金利を0.25%に引き上げる追加利上げを決定した。これを受け、メガバンクが9月に住宅ローンの変動金利の指標となる「短期プライムレート」の引き上げを発表している。
 ただ、今後について佐々木氏は「短プラが(実際に)上がる前に株価の下落が始まった。政府が今回の株価の大幅下落を重く見る中で、日銀の利上げも株価下落の一因となったみられており、日銀が住宅ローン金利にも影響する「政策金利を上げづらくなる可能性がある」と指摘。株価下落に伴いやや円高に振れた為替相場も「中長期的に円安傾向に戻りやすくなる」とみる。

◆GPIFは大丈夫?

 年金はどうか。公的年金の財源になる積立金は、厚労省の所管、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が金融市場で運用し、株は全体の4分の1を占める。株高で運用収入が積立金が上振れれば、制度の持続可能性や給付水準も上昇する可能性につながる。2023年度の運用収益額は、国内外の株高と円安の影響で過去最大の45兆4153億円だった。
 一方で、株価が下がれば運用収入が減る恐れもある。だが、今回の乱高下による年金財政への影響について大和証券の細井秀司氏は、「ほぼない」とみる。GPIFは積立金を、国内株式のほか、国内債券、外国債券、外国株式にも4分の1ずつ分散して運用しているためで、「株価は下落したものの債権は上がっている。損失は軽減されている」と話した。