開催期間中のIR工事中断を 主催者側が府市に要求 大阪・関西万博(2024年8月3日『時事通信』)

 2025年大阪・関西万博の会場予定地と隣接する用地で整備が進む、カジノを含む統合型リゾート(IR)を巡り、博覧会国際事務局(BIE)や経済界が開催期間中は工事を中断するよう大阪府・市に求めていることが分かった。
 複数の関係者が3日、明らかにした。騒音や景観の悪化を懸念しているためだが、府・市は工事継続の構えを崩していない。
 府は昨年9月、日本初のIR整備に向け、米MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスが中核を担う事業会社と協定を締結。現在、液状化対策の工事を実施しており、25年春ごろから施設本体の建設工事に着手する予定だ。30年秋ごろの開業を目指している。
 一方、万博は25年4月から10月まで、大阪市の人工島「夢洲」で開催される。関係者によると、BIEのケルケンツェス事務局長や日本国際博覧会協会会長を務める経団連の十倉雅和会長が、IR工事の機材が万博会場から見えることや、工事に伴い発生する騒音を問題視。先月25日、吉村洋文知事が十倉氏と会談し、工事継続に理解を求めたが、折り合わなかったという。
 IRを巡っては、事業会社が26年9月末まで違約金なしで協定を解除できる契約となっている。工事の中断を求めれば解除権を行使され撤退につながるリスクもあり、府・市は慎重に対応を検討している。