東京電力福島第1原発事故で避難を余儀なくされた住民らによる国家賠償請求訴訟で、国の責任を否定した最高裁第2小法廷の判事が独自に事実認定を行ったのは民事訴訟法に違反するなどとして、弁護士らが1日、国会の弾劾裁判所に罷免の訴追をするよう裁判官訴追委員会に請求した。
請求の対象となったのは草野耕一、岡村和美両判事。2人は2022年6月の判決で、国が事故前に津波対策を東電に命じても非常用電源を守ることはできなかったなどと認定し、国の責任を否定した多数意見に加わった。賛成したもう1人の判事は既に退官した。
弁護士らは請求状で、多数意見は高裁での事実認定と異なり、証拠に基づく判断とも言えないと主張。「最高裁判事の職務上の義務に著しく違反した」としている。
請求人の河合弘之弁護士は「問題提起するだけでも意味がある」と述べた。